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「尖閣国有化」に苛立つ沖縄・石垣市長の胸の内

中山義隆石垣市長

この日のシンポジウムの参加者は、基調講演を行った中山市長のほか、「尖閣ビデオ」を白日の下に晒した「sengoku38」こと元海上保安官の一色正春氏、「日本文化チャンネル桜」代表・水島総氏、さらには、山田宏前杉並区長、中田宏前横浜市長ら、保守論壇の論客が揃い踏み。山田氏が「現在、配備が滞っているオスプレイは、いっそのこと尖閣諸島に持っていくのもひとつの方法」と発言する一幕も

「日本のためを考えたら、東京都が(尖閣諸島を)買ったほうがいいと思っています」

 全国各地で気温35度を超える真夏日となった7月の三連休の最中、東京都内で開かれた「日本を創新する会」(会長・上田清司埼玉県知事)主催のシンポジウムで、尖閣諸島の行政管轄権を持つ石垣市の中山義隆市長は、突然「国有化」を言い出した政府に対しこう釘を刺した。

「私はまだ市長1期目の半分程度しかこの任に就いていませんが、固定資産税の実地調査を目的とした上陸を、国に対してすでに5回要請しています。私の前任の市長(6名)を含めると、’70年代以降、石垣市長は実に13回も要請を出している。にもかかわらず、この間に政府から回答があったのはただの1回のみ。理屈としては、尖閣諸島は長年誰も住んでいない“無人島”なので過去の評価と何ら変わることはないから、さらに付け加えれば、地権者の方が国の公的機関以外の上陸は認めていないから許可は出せない……という言い分なのです。ただこの理屈で考えたら、今後もし国に所有権が移ったとしても、国は『指定した公的機関以外の上陸は認めない』と言い出しかねない。つまり、上陸も認めず、中国に気兼ねして避難港や灯台の設置すら行わない……今以上に手がつけられない状況が続く可能性が高くなる」

 東京都は尖閣諸島の地権者から同意書を取り付け、今週中にも政府に上陸許可を申請する方針を固めるなど購入計画を着々と進めている。

 石原知事は13日の記者会見でも「ケンカ腰で行くことはない。きちんと申し込みの手続きをして、(それでも許可を出さないというなら)『どうして行けないんですか?』と聞けば、政府は立ち往生する」と話していた。

「東京都が購入した場合、石垣市の上陸は認めてもらえる。さらに、都は小笠原を世界自然遺産登録するときにヤギを駆除した経験もあるので、尖閣諸島においても『一緒に調査しよう』という提案も頂くなど、今後も東京都とは連携してやっていくつもりです。ただ残念なことに、沖縄県内には『石原都知事に振り回されないほうがいい』といった声があるのも事実……。これは近年、中国、台湾からの観光客が多くなり、ビジネスという視点で考えたら尖閣購入はあまりいい話ではないということなのでしょう。ただ、私はそれとこれとは話が別物と考えています。尖閣諸島沖の漁船衝突事件を受けての日本政府の対応もそうでしたが、船長逮捕後にレアアースが禁輸されると聞いて慌てて帰してしまったり、観光客が減るから、商売が立ち行かなくなるから、尖閣の問題には触れるな! ということを続けていたら、いずれ自国の領土など取られてしまいますよ。中国の旅行会社もビジネスの旨味があるからこそ沖縄にお客を連れてくるわけです。領土の話と経済の話がリンクして語られがちですが、私は一切の妥協は許さない姿勢で取り組んでいくつもりです」

 尖閣諸島の領有権をめぐっては、そのうちの一島、大正島について、1561年に中国・明から琉球王朝へ派遣された使節が皇帝に提 出した上奏文に、「琉球」と明記されていたことが先ごろ専門家の調査で判明。中国はかねてから「明の時代から中国の領土」と主張していたため、その根拠が 崩れることになる。

 これまで尖閣諸島が日本に帰属していることを証明する根拠としては、1920年に中華民国駐長崎領事が贈った魚釣島に漂着した中国漁民救助に対する「感謝状」に、「日本帝国八重山郡尖閣列島」と明記されていたことなどが挙げられていたため、今回の調査結果はより有効な根拠となるのは間違いない。

 東京都による島の購入計画を批判した丹羽宇一郎駐中国大使が一時帰国させられていた間も、中国の漁業監視船が領海侵犯を繰り返すなど、尖閣諸島周辺が一気に賑わしくなっているが、日本政府が東京都の要請に応じて上陸許可を出すか注目が集まっている。 <取材・文/山崎 元(本誌)>




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