安倍政権はなぜアメリカ最優先なのか? 「トランプの忠実な従属的助手」と揶揄されても…
たび重なる米軍ヘリ事故や北朝鮮有事への対応、要望されるがままの武器購入etc. 安倍政権は、なぜこれほどまでに米国優先なのか? 米国追従の最前線である沖縄から、現地リポートを行った。
1月31日、名護市長選の自公推薦・渡具知武豊候補の応援演説のため、小泉進次郎・筆頭副幹事長が沖縄に現れた。小泉氏は「名護市長選は『国』対『翁長(雄志)知事』の代理戦争という報道はフェイクニュースではないか」と疑問視し、地域の課題としてゴミ分別問題を取り上げた。しかし最大の争点である「辺野古新基地問題」への賛否はまったく語らず、記者が「争点隠し選挙ではないか」と直撃しても無言を貫いていた。
だが、実際には、辺野古新基地建設や米軍ヘリ事故への対応をめぐって「対米追従の安倍政権」対「翁長知事と稲嶺進・名護市長のオール沖縄」という対決構図になっていたのだ。
米軍ヘリの不時着現場に行くと、「日本はいまだに米国の占領下にあるのではないか」と思えてしまう。ヘリに近づくことができるのは米軍関係者だけ。規制線を張る沖縄県警でさえ原因調査はできない。
「ドイツやイタリアは米国との地位協定を改定、事故原因の調査も可能で、低空飛行や夜間飛行など米軍機の危険な訓練も基本的に禁止。日本だけが属国状態にある特異な国なのです。沖縄に基地の大半が集中しているため、このことに多くの国民が気づかないことも原因でしょう」(地元記者)。
ヘリ事故視察で来沖した野党国会議員との面会の場では、翁長知事はこう訴えていた。
「『県民は怒り心頭だ』と何百回も言ってきたが、いったい何回こういう話をすればいいのか」
知事は、事故が起きても米軍に形だけの申し入れをするだけで、原因究明と安全確認なき飛行再開を許してきた安倍政権に対して、怒りを爆発させたのだ。沖縄の怒りを受け止めた野党は、日米地位協定の改定を国会で訴え始めた。希望の党の玉木雄一郎代表は「憲法9条改正の前に日本の調査や捜査を制限している日米地位協定を見直すのが先決」と主張すると、共産党の小池晃書記長も「米軍の横暴の根底にあるのが日米地位協定。抜本的改定が必要」と迫った。
しかし安倍政権は、事故根絶に不可欠な日米地位協定の抜本改定には及び腰。米海兵隊用の辺野古新基地建設をゴリ押しする姿勢も変えようとしていない。名護市長選で公共事業を通して税金を選挙対策費に流用、米国益実現のために、新基地建設反対の稲嶺進市長の交代を狙った。
北朝鮮有事対応でも、安倍政権の米国ゴマスリ姿勢は際立っている。米朝戦争勃発の場合、北朝鮮の核ミサイル報復攻撃で日本と韓国は死者100万人規模の被害想定が出ている(米国ホプキンス大学の北朝鮮分析サイト)。
韓国の文在寅大統領が「いかなる場合であれ、朝鮮半島で武力衝突があってはならない」「韓国の事前同意のない軍事的行動はありえない」と米国に釘を刺しているのとは対照的に、安倍首相は「(北朝鮮対応で)日米は100%共にある」と繰り返すばかり。立憲民主党の枝野幸男代表はこう批判する。
「最近の(安倍政権の)姿勢は米国に言われたら何でも『ハイ』。これでは本当の意味での(日米の)信頼関係を高めることにも、安全を高めることにもならない」
トランプ政権は米国本土を守るために、ICBM(大陸間弾道ミサイル)完成前の北朝鮮攻撃を検討している。トランプ大統領に「攻撃を決断したが、それでいいか」と迫られたときに安倍首相が「NO」と言えるのかが非常に疑わしい。軍事オプション行使を選択肢とする米国に追随した結果、日本で100万人規模の死者が出るリスクが現実味を帯びているのだ。
なぜそこまでアメリカを優先するのか
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ジャーナリスト。『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
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