ルフィはなぜ「海賊王におれはなる!」と宣言したのか?
―[魂が燃えるメモ/佐々木]―
いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第140回
『ワンピース』(集英社)という少年漫画がある。主人公のルフィが海賊王を目指して、仲間ともに世界を旅する海洋冒険譚で、国内発行部数3億9000万部、第67巻の初版発行部数405万部、第66巻の初週売上部数227万5000部など、いくつもの出版記録を樹立している。
この『ワンピース』で最も有名なセリフは、「海賊王におれはなる!」だろう。これは第1話の最後、海へと船を漕ぎ出したルフィが叫んだセリフだが、彼はどうしてそう決意したのだろうか。
第1話で村を拠点にしていた海賊「赤髪のシャンクス」は自分が旅立つ時に、身につけていた麦わら帽子をルフィに渡し、「いつかきっと返しに来い。立派な海賊になってな」と誘う。この時、ルフィは「…………!!」と声にならない声を上げる。
ルフィにとって、シャンクスは憧れの人物だ。ルフィはもともと海賊になりたいと考えていて、シャンクスはまさにその海賊だったからだ。しかし、ただ憧れていただけならば、そこまで心を揺さぶられることはないだろう。
ルフィとシャンクスの間にはもう一つの関係がある。それは命の恩人だ。ルフィはヒグマという山賊と、「近海の主」という巨大魚に襲われた時の二度、シャンクスに命を助けられた。そして、近海の主からルフィを助けた時に、シャンクスは自分の片腕を失った。そんな相手の言葉だからこそ、ルフィは心を深く揺さぶられたのだ。
誰かに心を揺さぶられた体験は原風景となって、その人に影響を与え続ける。ルフィはシャンクスが旅立った十年後になっても、その時のことを覚えていて、彼が待つ海へと漕ぎ出していく。
ルフィは命を助けられる前から、シャンクスに「一緒に連れて行ってほしい」と頼んでいた。しかし、その時のルフィは、海の過酷さや危険さを知らずに、ただ「海賊になりたい」と考えていた。そんなルフィに、シャンクスは海賊の生き様を教え、「海賊になる」という願望に輪郭を与えたのだ。
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コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中
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