夢日記(5)

 修学旅行に行っている夢を見た。

 先生として行っているのか、生徒としてなのか、
それはわからない。

 SKE48の松井玲奈高柳明音
学生服姿で登場し、

「もうすぐバス出ちゃいますよー」

と、私に敬語を使っていたので、

たぶん先生として引率をしているのだろう。

 私は鹿に乗っている。

 バンビくらいのあまり大きくない鹿で、
頭から生えている二本のツノを
手綱代わりに握っている。

 鹿がいるだけに、
ここはもしかして奈良かもしれないが、
違うかもしれない。特定はできない。

 私は鹿に乗りながら、とても焦っている。

 さっき、玲奈と高柳が言ったとおり、
もうすぐバスが出てしまうのだ。

 バンビのような、
奈良の東大寺前に放し飼いされているような
小鹿なので、
成人の私を乗せての進みは、
当然、のろい。

 でも、跳躍力はなかなかのもので、
ときどき、ほんの一瞬はあるけれど、
ふわっと宙に浮いた気分になる。

 鹿は走りながら私のほうを、
エメラルドグリーンのつぶらな目で
見つめている。

 関節の方向としてはあり得ないのだが、
とにかく、じっと見つめ続けている。

 そんな鹿の表情があどけなくて切なくて……
だから、私はさっきから鹿に向かって

「もっと速く走ってくれよ」

と言えないままだ。

 やっとの思いでバスが停まっていた
パーキングエリアに、たどり着く。

 バスはいない。

「混んできたので、
もうひとつの駐車場に
移動してもらいましたよ」

 小松政夫に似た案内係のおばさんが教えてくれた。

「そんな! 勝手に移動されても……」

 内心でそう泣き言をつぶやきながらも、

「ハイドォー!」

と、鹿を180度反転させ、
案内されたもうひとつのパーキングエリアへと向かう。

 バスが出る時間まで、あと数分もないのだ。

 道幅が10m近くある、
山の中腹に栄えた風の温泉街
眼前に広がってくる。

 焦ってて焦っててしょうがないのに、
私は何故か、そこに並んでいるお土産屋に立ち寄って、
鹿に跨がりながら、だんごを百円で買っていた。

 みたらしだんごのような
とろりとした醤油だれが塗してあり、
でも、みたらしだんごよりは全然大きい、
テニスボールくらいのだんごが二つ、
串に刺さっている。

 そのひとつを頬張り、もうひとつを鹿に食わせてやる。

 鹿は、エメラルドグリーンのつぶらな目で
口をもぐもぐさせながら、私に

「美味しいよ」

と語りかけてくるみたいだ。

 だが、腹ごしらえをしたところで
進みはいっこうに速まるわけでもなく、
ふわりふわりと、
ようやく、もうひとつのパーキングエリアにたどり着く。

 バスはいない。

 腕時計を見ると、4時17分を指していた。

 集合時間が何時だったかは定められないが、
すでに、大幅に過ぎていた……

感じだけは、ひしひしと伝わってくる。

 置いてきぼりだ。

 自分で乗り合いバスやら電車やらを
乗り継いで、帰るしかないのだろうか。

 ポケットをまさぐってみるが、
所持金は三千円だけしかない。

 けっこうやばい状況。かもしれない。

 鹿に乗って帰る

しか、方法が思いつかない。

「お前、三千円で東京まで走れるか?」

 そんな無茶な独り言をささやきながら、
鹿の前にくちゃくちゃの千円札を三枚差し出すと、

鹿は、エメラルドグリーンのつぶらな目で

きれいに残らず、もぐもぐ食べた

……ところで目が覚めた。

PROFILE

山田ゴメス
山田ゴメス
1962年大阪府生まれ。マルチライター。エロからファッション、音楽&美術評論まで幅広く精通。西紋啓詞名義でイラストレーターとしても活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など
『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)
『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)
OL、学生、フリーター、キャバ嬢……1000人以上のナマの声からあぶり出された、オヤジらしく「モテる」話し方のマナーとコツを教えます

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