山田ゴメスの俺の恋を笑うな
平泳ぎの女
このヒトとだけは絶対に別れたくない!
と、切実に感じる瞬間はないだろうか?
無論、“このヒト”とは、
私で言うと、女性のことであり、
“別れ”とは、
死別であったり
仕事の事情であったり
なんらかの諍いの結末であったり、
考えられるケースはいろいろだ。
そして、その切なさは、
おのおのによってまちまちの心象風景をきっかけに、
ある日突然、日常の思考の隙間に入り込む。
私の場合は、平泳ぎだ。
人生の幾分かをともにする女性が、
とあるスポーツクラブだかのプールで、
ひとり黙々と平泳ぎで泳いでいる。
顔を水面から上げたままの軽い平泳ぎではなく、
二回の手足の動作ごとに正確に息継ぎをする
ちゃんとした平泳ぎだ。
とはいえ、定期的なジム通いで訓練されて、こなれたものではない。
たまたま来たけど、クロールやバタフライができるほどの技術はなく、
だから、ただなんとなく平泳ぎで、といったレベルのものだ。
ゴーグルをつけていないから、目はずっと閉じたままで、
こなれていないから、息継ぎをするごとの口の表情が、
まるで誰かの粗相を罵っているかのように、
悲しく豊かにフラッシュバックを繰り返す。
やがて、筋肉の疲れから平泳ぎのフォームは、
ダイナミックさを失い、犬かきのように小刻みな動きへと変わっていく。
それでも、彼女は泳ぐことをやめようとしない。
ほとんどと言ってよいほど縮まらない
プールのゴールとの距離を埋めるため、
延々泳ぎ続けるのだ。
もし貴男に、
この女性が自分にとって大切かどうか、
を判断しかねているヒトがいるならば、
平泳ぎをする彼女
のイメージが、なにかひとつの答えを導いてくれる
……かもしれない。
フツーにチンコSEXなぞとのたまう御仁とは
とても同一人物とは思えずの美しい旋律に
改めてゴメスさんの脳みそ回路の不可思議を
見せつけられた思いです…。
それはホメられてますね? ありがとうございます!(ゴ)