渡辺浩弐の日々是コージ中
第421回
6月30日「昔話が面白い業界」
・某企画についての話で、ファミ通の中治さん他、来社。この人はファミ通の創立初期メンバーだ。お会いするのは15年ぶりである。高橋名人ブームの頃の話などで盛り上がる。ほんの一昔前までゲームってなんだかわけのわからないものだった。メーカーも雑誌も、売り方も紹介の仕方も、手探りでいろいろなことを試しては失敗したり成功したりして、そして少しずつ、文化として、産業としての地位を作っていった。そんな時期のことはどこにも記録されていない。ダウンロードという手法でレトロゲームにも気軽にアクセスできるようになった今、ゲーム誌ではそういう企画もやってほしいと思う。
・知らなかったが毛利名人はもうファミ通を卒業し、すなわちゲーマー業を引退して、悠々自適の日々を過ごしておられるらしい。ちょっともったいない気もする。
7月2日「笑えるほど怖い」
・『恐怖体験 呪怨』(Wii/AQインタラクティブ)サンプルをプレイ。Wiiリモコンを懐中電灯に見立て、暗闇の中を進んでいくホラーゲーム。欧米型の、例えばホーンテッドマンションのようなエンターテインメントではなく、日本の、地方の遊園地にあるお化け屋敷のような、容赦のない怖ろしさ。暗くて、人形も内装も、意味や意図がよくわからないからこそむしょうに不気味な、あの感覚。
・それでいてうまくめりはりも作ってあるから、パーティーゲームにもおすすめだ。これはニコニコチャンネルでプッシュしてみたいと思った。大勢でプレイしてる様子はどんな感じかと思い、取りあえず居合わせためんつでシミュレーションしてみたら、瞬時に阿鼻叫喚となった。これ、発売されたらニコ生の人気コンテンツになるんじゃなかろうか。
7月3日「懐中納豆」
・中野ブロードウェイ地下で「手巻納豆」(松福)というお菓子を見つけて衝撃を受け、以来常にポケットに数個持ち歩いては布教している。納豆をノリで巻き完全に乾燥させている。日本人の技術と味覚あってこその逸品である。
・マツバラさんに聞いたら地元岐阜ではかなりメジャーらしい。サイトもあって通販でも買えるよ。
第420回
6月23日「3D-CGから立体視映像へ」
・デジタルコンテンツEXPO「国際3Dフェア 2009in TOKYO」実行委員会のミーティングに参加。
・画像を立体的に見せる様々な技術の基礎はVRブームだった90年代前半までにほとんど提示されていた。しかし、それがエンターテインメントとして「珍しい」ものでなく「楽しい」ものとして使われるようになったのはここ数年のことだ。
・技術とインフラがようやく安定したということだ。『センター・オブ・ジ・アース』で確信したが、もう全く疲れずにフルサイズの長編映画を観られるレベルになっている。3D対応のデジタル映画館は日本でも増加している。時機は来ているのだ。
・3D-CGの生データがあれば容易に立体視バージョンを制作できるから、ゲーム制作工程との相性も良い。僕は、ゲーム業界と映画業界のコラボレートがこの領域で盛んになることに最も期待している。
6月26日「ヒットラーの復活の復活」
・ニコニコチャンネルGTVではおなじみジャンクハンター吉田さんをお招きしてのゲーム実況。今回は『バイオニックコマンドー』。吉田さんはカプコン社プロデューサーのベン・ジャッド氏と、そしてゲーム好きで知られる映画監督の山口雄大氏を連れてきてくれた。
・みんな喋る喋る喋る。2時間くらいはあっという間だったよ。同じメンツでまたやりたい。
6月27日「生放送の意味」
・というわけでニコニコの生放送の本当の価値が体験的にわかってきた。そもそもの話になるが、テレビの生放送って実はあまり意味なくないですか。生のようなふりで「とってだし(撮影終了直後に放送すること)」の番組も結構あるらしいが、それで問題はないのだ。生放送は数万人くらいまでの細分化された層に向けての、双方向の企画に向いているのだ。
・さて最近は忙しいのだが、小説は頭の中でどんどん書いてる。結構たまってきたのでまたノベル実況をやってみようと思う。他にもいろいろな企画を準備してるけど、大抵いきなりやってみることになりそうなので、チャンネルをチェックしてください。
第419回
6月12日「ニコニコな日々」
・ニコニコチャンネルGTV生放送。ゲストは再びジャンクハンター吉田氏。6月頭にLAで開催されたゲームショウ「E3」の取材映像を見せて頂きながらのトーク。
・360の勢いが加速しているとか、日本で出ていないハイレベルなアクションゲームがたくさんあるとか、逆にこちらでは大ヒットしている作品がアメリカでは不振だったりする、とか。一言でまとめると、日本とアメリカのゲーム・トレンドは分離してしまいつつあるということだろうか。この流れには逆らっても意味はない。作る側はためらわずに先鋭的な方向に突き進み、そして国別のマーケティングではなく、嗜好性別のマーケティングで売って行かなくてはならない。
・こういう番組をこれからどんどんやっていくつもり。ゲームのメーカーやソフトハウスの皆様にはぜひ現場を見に来て頂きたいので、ご一報ください。
6月13日「図工室から」
・世田谷の学校で開催された「リアル脱出ゲーム」に参加。『廃校脱出シリーズ2 図工室からの脱出』。参加者はまず特定の場所に閉じこめられる。その空間内にいろいろな形で謎のメッセージが散りばめられている。それらを一つ一つ解いていき、制限時間内に脱出することを目指す……という体験型ゲーム。
・去年、作家の北山猛邦さんと一緒に、中野ブロードウェイのカフェを拠点にビル全体を使ったミステリーゲームを仕掛けたことがあった。その際メディアファクトリーの三原プロデューサーから薦められたのである。1公演20人ちょいという限定されたイベントだがネットを調べると既にすごい評判になっている。こういうのは自分で体験しないと。というわけで手を尽くして頂いて(すみません)プラチナチケットを入手したのだ。
・今回は、学校の「図工室」というテーマで、そこにあるものを使って図画や工作をすることによってフラグを立てていく。8ビットゲーム世代に嬉しい演出もあった。寺山修司とテレビゲームの中間くらいにある、ポップでスリリングな楽しさ。
6月18日「ケーキ実況」
・ニコニコチャンネルGTVで生放送。今日は『甘党ーーク!』。作家がひたすらお菓子を食べる、という企画。
・第1回は松原真琴さんのリクエストで、ロールケーキ特集。高円寺ラレーヌの「王妃のロールケーキ」神楽坂ウッドマンズケーキの「神楽坂ロール」それから札幌・菓か舎の「フレッシュロール」、など、8本 (8切れ、ではなく、まるごと8本) のロールケーキを2人で、1時間の放送中に食べきった。というか、前半でほぼ食べきってしまったので間が持たなくなり、マツバラさんはさらにカプリコを2本食べていた。
・ただしそこまでは実は前菜に過ぎなかったのだ。メインディッシュは、今日いらしていた人気漫画家さんのためのバースデー・ケーキだった。ニコニコ視聴者のみんなと一緒にお祝いができたよ! みなさん弾幕ありがとう。松原さんありがとう。
・次の生放送は26日19:00の予定。ゲーム企画です。ニコニコチャンネルGTVをチェックしててください。