更新日:2022年06月23日 14:32
ライフ

40男が「青春18きっぷでどこまで行けるか?」にチャレンジ

肉体的には下り坂、精神的にも社会的立場が固まり、周りの目が気になる40男にとって、新たな挑戦をするのは簡単なことではない。秘めた夢を叶えるためのラストチャンスに挑んだ

青春18きっぷでひとり旅…電車を19時間乗り継いで1日で東京発・小倉着

⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1026974
始発の東京駅に行くだけでも一苦労。

始発の東京駅に行くだけでも一苦労。

 時間と体力のある若い頃しかできないことと言えば、鈍行列車のひとり旅。まだ気持ちだけは若いうちに一度くらいはやってみたい。さて、どこに行こうか……と考えていると、SNS上で「青春18きっぷなら東京から小倉(福岡県)まで1日で行ける」との情報を発見。調べると、所要時間19時間22分、距離約1108km、乗り換え13回だが、1日で行ける! ⇒【資料】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1025396
電車を19時間乗り継いで1日で東京発・小倉着

電車を19時間乗り継いで1日で東京発・小倉着

 なお鉄オタの友人いわく「時刻表が変わるたびに『青春18きっぷでどこまで行けるか』を調べる人は多いけど、実際にやる人は少ない」とのこと。ならばオレがと勇んで挑戦することにした。  まず東京駅4時42分の始発に乗るのが難関で、寝坊回避のため徹夜した時点でヘロヘロ。タクシーで東京駅に着き、「電車で寝よう」と思っていたが、それは甘かった。  というのも、この旅程では1回でも乗り換えに遅れると小倉まで到着できないため、怖くて熟睡は不可能。そして各駅での乗り換え時間は大半が1~4分と短いのだ。しかも小田原駅では、乗り換え先の電車が短い車両編成で、ホームの端からダッシュするハメに。4分の乗り換え時間がある熱海駅でも、ホームまでが大混雑で、間一髪で電車に飛び乗る状況だった。  また、特に食料も準備していなかったため、午前は空腹で死亡寸前に。豊橋駅でやっと食事を購入できたが、混雑状況の予測できない在来線車内で食べることになるため駅弁は買う勇気がなく、やむなくおにぎりに。そして大垣駅では、乗り換えでチンタラしていると席が埋まり、まさかの立ち移動となった。
肝心のグルメは鈍行列車のため、人目を忍んで弁当は断念。駅の売店で買ったご当地お菓子などで飢えをしのいだ

肝心のグルメは鈍行列車のため、人目を忍んで弁当は断念。駅の売店で買ったご当地お菓子などで飢えをしのいだ

 本格的にツラくなったのは午後に入ってから。関西の都市圏を通過する琵琶湖線新快速は、一時通勤電車のように満員に。ロクに脚も伸ばせず疲労が溜まっていく……。  山陽本線に入ると電車は空いてきたが、別の問題が発生。暇つぶし用の2冊の本を読み終えてしまい、スマホとiPadの充電も残りわずかに。疲労困憊&やること皆無の地獄がここから始まった。  また、この旅で最長の31分の乗り換え時間があった糸崎駅は、駅構内に売店がゼロ。外に出てもあるのはコンビニのみで、コーヒーを飲んで、雑誌を買うのが限界。  そして終盤にして最長の181分の乗車時間だった岩国発・下関行きでは、まずスマホとiPadがダウン。さらに新幹線との接続待ちで遅延まで発生。体は疲労、頭は絶望。もうこの挑戦も終了か……と思った。  が、最後の下関発小倉行きは終電だったためか、接続を待機してくれていて乗り換えに成功! 無事、小倉駅に到着した。そして街行くギャルに「写真を撮ってもらえませんか?」とド深夜に声を掛けて怪しまれつつ、記念撮影をして全行程を終えた。  達成感に浸っていると、鉄道ライターからのアドバイスが届き、 「ケツが死ぬので座布団は必須」とのこと。先に言えよ! また、「アラフォーなら若者のような“安く遠くまで行く”貧乏旅はせず、途中下車も予定変更も思いのままの“自由へのきっぷ”として青春18きっぷを使うべき。ときには新幹線や特急で“ワープ”するのもアリ」とのことだった。  40歳を前に、回り道しても若かった頃の心を取り戻したくて、この旅に出たんだ……!と熱くなったが、翌朝にはその思いも忘れ、飛行機で東京へと帰還。不惑を前に、「時間はカネで買える」が真実であると悟ったのだった。
遅延などのピンチを乗り越え、なんとか小倉に到着! が、すでに深夜で観光はできず

遅延などのピンチを乗り越え、なんとか小倉に到着! が、すでに深夜で観光はできず

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