風俗嬢は勃たずに落ち込む私に言った「すぐに謝る男の人、あんまり好きじゃない」――爪切男のタクシー×ハンター【第十八話】
次に目覚めた時、時刻は昼の十四時を少し過ぎた頃だった。職場には、元旦出勤をしてきた社長の姿があった。
「おはよう!」
「おはようございます。あけましておめでとうございます。社長」
「はい、おめでとさん」
「すいません、職場で年越えちゃいました」
「そんなに大事な仕事残ってたっけ」
「実は……」
私は彼女と別れそうになっていることを社長に相談した。
「別れた方がいいね!」
「へ?」
「元旦から独り身に戻るなんて切りがいいじゃん! 逆に縁起がいいよ!」
「他人事だと思って……」
「おめえさん、今年はいい年になりそうだね~」
「はぁ……」
「じゃあ、お年玉あげるから、これで風俗でも行っといで! そんで帰りはタクシーで帰っていいよ」
「え……こんなにもらってもいいんですか」
「ほら、もういいことあったじゃん」
社長命令により元旦から風俗に行くことになった。
『死にたい夜にかぎって』 もの悲しくもユーモア溢れる文体で実体験を綴る“野良の偉才”、己の辱を晒してついにデビュー! |
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