第2話、マイメンになったはずのカフェ店員にプチ軟禁
いきなりインドの洗礼を浴びた私は「もう、ダマされないぞ!」とフンドシを締めなおす。とはいえ、さすがに40度近いインドの気候は体力を奪うのも早い。汗だくになり、喉もカラカラになったところでカフェを探してひと休みすることに。
インドは、他の東南アジアと違って“暑い”というよりも“熱い”といった表現がピッタリだ。真夏は50度を超えアスファルトが溶けてしまうというニュースまで目にするぐらい。そんななか、ようやく辿り着いたカフェで乾いた喉にマンゴージュースを流し込む。「あぁ、格別だ」。ここに来て、たった1杯のジュースに至福のひとときを覚えた。
先ほどの失敗を取り返すべく、
旅先で相手と仲良くなるための秘技「自分からエッチな話をもちかけて心の鍵をこじ開ける」という作戦で、ヒマそうにしていたカフェ店員(以下、パシリ)に話しかけてみた。どこの国に行っても昼間のカフェでボラれることなんてそう滅多にないと高を括っていたからだ。しかし、この軽卒な行動が後の事件へと発展していくことになる……。
カフェ店員のパシリ
パシリの青年がカフェの主人(以下、親分)を呼びつけると、3人でエロ話がヒートアップ。そして、親分が「事務所に来い、
オマエは俺のマイメンだ」と気前よく誘ってきたのだ。旅慣れた私としては、この展開は、“
旅でしかできない現地の人との異文化交流の大チャンス”だと思った。そのカフェに併設されている事務所へと案内される。
そして、長椅子とテーブルだけが置かれた4畳ほどの狭い部屋に入ると、今にも消えそうな蛍光灯がひとつあるだけだ。室内は薄暗く、刑事ドラマに出てくる尋問室のような場所だった。その瞬間、再び脳内でドラクエの祠(ほこら)の音楽が響き渡る。だが、それはすぐに
戦闘のテーマ曲へと切り替わった!
なんと、先ほどまでゴキゲンに会話していた親分が事務所に入るや否や、イカがわしいモノ(マ◯ファナ)を吸い始め、こちらを威嚇してきたのだ!
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親分。ワキガ臭がすごい
親分による「俺はこんなにワルなんだぞ!」という自慢話が延々と続き、いつしかパシリのほかにも数人の不良インド人たちが狭い尋問室に入ってきてドアを塞いだのだ。さすがにその口調や顔つきで「コイツ、俺から金を巻き上げたいにちげ~ねぇ」と気付いたが、時すでに遅し。親分が声を荒げてこう言う。
「
俺とお前は友達だから1000ルピー置いていけ!」
たしかに、さっきは友達だって、マイメンだって言ってたけど……。なぜ、お金を払わなければならないのか意味がわからない。さらに、密室状態のなかで親分のワキガ臭がぷんぷんと漂ってきて悶絶しそうになった。とはいえ、私もヤラれてばかりでいるわけにはいかない。旅先での非常事態に備えて習っているキックボクシングの技で応戦だ!
思い切り拳のスナップを効かせ、“ドンッ”という快音を轟かせつつ、
机に1000ルピーを叩きつけてやったのだ。相手もそれにビビったのだろうか。ハグしてきた。これは「完全に俺の勝ちやな」っと。そして最後に、こう言ってやったんだ。
「外に歩いてる日本人がいるハズだから、そいつからも1000ルピーとっちゃいなよ~」
座右の銘「転ぶときは前向きに!」……というのは冗談で、“
現地人と仲良くなって旅の思い出を作りたい”なんていう能天気な日本人がいかに騙されてしまうのか、ほんの少しわかってきた気がする(汗)。
【勝手にインド危険情報】
たとえ気さくなカフェ店員とマイメンになっても恐喝犯に豹変する可能性があるので気を付けてください。実際の犯人たちの顔写真もあるのでご参考にどうぞ。