「過労死ライン」を超える教師たち…部活動で土日も合法的にタダ働き
こうして教師たちの献身的な犠牲によって心身を鍛えた生徒たちはやがて学校を巣立っていく。だが、彼らを迎え入れるのは社会にとってプラスなのだろうか。今年7月に『ブラック部活動』を上梓する名古屋大学の教育学者・内田良准教授は、警鐘を鳴らす。
「そんな部活動の根性論を乗り切った生徒を採用したがる企業は多い。ブラック企業の働き方というのは、部活動を拠点に育っていると僕は考えています」
部活以外にも民間企業では考えられないような労働慣行が教師の世界では蔓延している。
「特給法上、教師は定時で勤務が終わっていることになっているため、そもそも残業という概念がないんです。タイムカードで勤務時間を管理していないので、実際に教師たちは自分がどのぐらい残業をやっているのかもわからない。それなのに、教師たちは労務管理されていないことをなんとも思っていない。これは民間企業からすれば異常な事態ですよ」(内田氏)
残業代も支払われない“無法地帯”でいつまでも働き続ける教師には、際限なく仕事が舞い込む。
「それでも教師たちは『子供たちのため』という何ものにも代え難いやりがいを持っているため、献身的に負担を受け入れてきました。言い換えれば世の中全体が教師に対して『やりがいの搾取』をしていたわけです」(同)
ブラック労働から生み出された子供たちが、ブラック企業を支えていくとは、なんたる皮肉か。
<ブラック化する3要素>
・部活動の顧問の“義務化”
・労務管理がされていない
・やりがいの搾取
(※)’96年度は文部省(当時)、’16年度はスポーツ庁の部活動に関する調査より
― [教師・警察官・僧侶]のブラック労働が止まらない ―
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