なぜ芸能界とキャバクラはギャラで揉めるのか【コラムニスト木村和久】
一方、キャバクラも「噂のブラックホール」と言われているぐらい、他人の話で持ち切りです。とにかく「その場に出席していないキャバ嬢はみんな敵」ですから、すぐさま「欠席裁判」の開始です。
「○○ちゃんさあ~この前、お客さんとラブホから出て来たとこ、スカウトに見られたんだって」
「ウソ、それって付き合ってんの?」
「なわけないじゃん、枕に決まってんじゃん」
とまあ、こんな悪口を言われたくないばっかりにフル出勤したコもいるとか。ほんまかいな。
そして、最大の関心事は給料問題です。「自分の貰っているギャラは、絶対人に言っちゃダメ」と、マネジャーやスカウトに口止めされているにもかかわらず、そっち方面の話がしょっちゅう出ます。
「実は銀座のクラブから日給4万円で呼ばれてんだけどさ~。週1同伴ノルマあるから、悩んでいるんだよね」と、多少盛りながらギャラ方面の話へ。そこからは他店の話に始まり、自分の話へ。ここでのポイントは自分が時給4000円貰っている場合、「そうねえ、時給3500円ぐらいかな~」と多少控えめに言うのがコツ。すると、相手は安心して「同じぐらいだね」と妙に納得しますが、実はその納得したコも4000円ぐらい貰っているのでした。なんのこっちゃ。
なんでキャバクラで給料問題が起きやすいかというと、街中で声をかけてきたスカウトマンが入店させる、俗に言う「デビュー店」というのがあり、そこがわりと安く女のコを働かせているからです。デビュー店は全くの素人だからという理由で、例えば午後9時から出勤で、時給を3000円前後に設定します。
そこで1年ぐらい働くと、キャバクラ事情にも詳しくなり、やや高級なキャバクラで時給4000円以上出るという情報が漏れてきます。高級キャバクラはフレッシュな経験者が欲しい、デビュー店で働いているキャバ嬢はもっとお金が欲しいと、両者の思惑が一致するのです。
じゃあ、キャバ嬢を引き抜かれるデビュー店は被害を受けないのか? そこは上手くできていて、デビュー店のお客さんはフレッシュな新人が好きなので、逆に言えばいい厄介払いができるのです。デビュー店でも、成績のいいコはギャラを上げて慰留します。どうでもいいコだけがギャラを上げずに放置しておくと、ほかへ流れて丸く収まるのです。
お客さんから見ても、いつ行ってもあの店は20歳ぐらいのコがいると評判は上々。決して老いることのない、ネバーランドがそこにあったんですね。それでは皆さん、六本木のキャバクラでお会いしましょう。
■木村和久(きむらかずひさ)■
トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦。著書に『50歳からのかろやか人生』
1
2
この連載の前回記事
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ