更新日:2022年09月25日 10:47
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便秘で10万円! アメリカの医療費は本当に高かった…

緊急搬送で1000ドル以下ならまだまだ安いほう!?

 では、実際にアメリカに在住の日本人は病気やケガなどの不測の事態にどう対処しているのだろうか。アメリカ人男性と結婚してニューヨークに住む日本人女性に話を聞いた。 「企業の現地駐在員の方々は福利厚生で、こうした保険などはすべて会社が面倒見てくれることが多いので、医療費が高くて……なんてことはあまり気にしないんですが、私のように現地の男性と結婚して住んでいる一般の日本人は自分たちで保険に加入しなければなりません。医療保険に入らずにクレジットカードの付帯保険をやりくりしてる人もたまにいますが、いずれにせよ不便ですよね。ウチは主人と私がそれぞれ毎月400ドルの保険に加入しているのですが、これでもランクは低いほうなので医療機関によっては断られることも少なくないです」  彼女によれば加入している保険のグレードによって保障される内容は異なり、高い保険料を支払うことでレントゲンなどの検査代金、処方箋の薬代までカバーすることは可能だという。 「日本じゃ考えられないんですが、こっちでは病院で門前払いなんて当たり前です。体調が悪くて病院に行く場合はまず、病院に電話して予約を取らなきゃいけないんですが、この際、保険の種類を伝えなきゃいけないんです。そこで『ウチではあなたの保険は扱えないから、別の所に行ってくれ』とか普通に言われます。ツラかったのは妊娠中ですね。かかりつけの医者がなかなか見つからなくて、風邪なんて引いたら……と思うと気が気じゃなかったですよ」  だが、こうした保険の種類に関係なく診察して治療をしてくれる病院もある。いわゆるERと呼ばれる救急病院だ。だが、その費用は非常に高額だという。 「以前、嘔吐と高熱でどうにもならなくなったことがあって、病院に電話しまくったんですがすべて断られ、『どうしても治療を受けたいならERに行け』といくつもの病院から言われました。ERは保険の種類に関係なく診察と処置をしてくれるんですが、本当に高い。でも背に腹はかえられぬ状況だったので、主人がERに連れてってくれたんです。一通り診察をして、点滴を一本打って帰らされたんですが後日1200ドルの請求書が来てビックリしました。こちらの医療費の請求は3か月~半年後に突然送られてくるので、あのときはいくらかかかったんだろう……って医者に行くたびに不安になりますよ(苦笑)」  この金額は保険が適用された自費負担分である。だが、この金額は現地ではそこまで高額ではないという認識なのだとか。 「ERに行って1000ドル以下なら安かったという認識ですね。医療費が高額なので、基本的にアメリカ人はあまり病院に行きません。日本では老人の方が病院にたむろして~なんてよくありますが、アメリカでそんな頻度で病院行ってたら破産ですよ。高額な医療費で破産って、こっちじゃ珍しいことじゃないんですよ」  海外でのケガや病気は甘く見ないほうがいいのである。これからの季節、海外旅行に出かける方も大勢いると思うが、保険の確認はしておいたほうがいいだろう。 取材・文/長谷川大祐(本誌)
日刊SPA!編集。SPA!本誌では谷繁元信氏が中日ドラゴンズ監督時代に連載した『俺の職場に天才はいらない』、サッカー小野伸二氏の連載『小野伸二40歳「好きなことで生きてきた~信念のつくり方~』、大谷翔平選手初の書籍となった『大谷翔平二刀流 その軌跡と挑戦』など数多くのスポーツ選手の取材や記事を担当。他にもグルメ、公営競技の記事を取材、担当している
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