更新日:2018年05月30日 16:05
スポーツ

ウインドサーフィン・新嶋莉奈 17歳「オリンピックを目指すのは“洗脳”に近いのかも(笑)」

戦略と風が理解できると面白い

 天候が毎日変わる中で、今日はどういうふうに進むのか? 船からチェックするコーチと二人三脚で戦略を組み立てていく。練習が終わると、コース取りの確認と細かい作戦の軌道修正。「自分としては、この風を利用したかったから右に行った。でも、ダメだった」などとミーティングで意見を交換し合う。戦略という点でいうと、風を読む力だけでなく、相手選手との駆け引きも重要になってくる。 「マッチレースになった場合、相手が嫌がるポジションに自分がいなくてはいけない。自分がやられて一番嫌なことを、相手に対してもするんです。だから基本、意地悪な人が強いんですね。私は……ノーコメントでお願いします(笑)。レースとはいっても単純なスピード勝負じゃないから、最初は何がなんだかわからないという人が多いと思うんですよ。“これ、どっちが勝ってるの?”って感じで。だけど今は、テレビ中継も上空からドローンで撮ったりしていますからね。戦略とか風が理解できると、ウインドサーフィンってすごく面白いですよ。“あっ、そっち行っちゃうんだ!”とか声が出ちゃう」  遠いと感じていたオリンピック出場の道も、おぼろげながら見えてきた。先日、イタリアで行われたジュニアの世界大会では、最終的に決勝のメダルレースで敗れてしまったものの、予選段階では10レースして6位。ユースの大会でトップ3に入ることができれば、シニアでも10位以内に入れると言われており、世界で戦える自信がついた。また、166cmという身長も日本人女子選手としては大柄な部類に入り、体型としては極めて恵まれていると指摘される。 「海に出ていないときも、イメトレみたいな感じでウインドサーフィンのことを考えちゃうんですよ。他の人が全員、自分の後ろにいるっていう絵をイメージするんです。いつもやっちゃうのが、信号待ちからのスタートダッシュ。青になった瞬間にポーンと飛び出して、後ろに人がいるっていうのが快感で(笑)。ウインドサーフィンは、ずっと続けていきたいですね。たぶん子供ができるまでは続けるんじゃないかな。東京オリンピックのときは20歳だから、たぶん2024年のオリンピックも目指すことになると思う。その前に22歳で大学卒業したら、アスリートに理解ある企業に入って続けたいです」 【にいじま・りな】 1999年11月13日、神奈川県鎌倉市出身。現在高校3年生。セブンシーズ・鎌倉ジュニアユースウインドサーフィンクラブ所属。幼少の頃から海に親しみ、小1で現在のクラブに入部。全日本ジュニア選手権では小4から優勝5連覇を成し遂げる。中学入学とともにコースレースに転向。中2のとき、ポーランドで開催されたテクノ293ワールドカップのU15クラスで10位。翌年1月にはシンガポールで開催されたアジア選手権で4位入賞し、ユースオリンピックの日本代表枠を獲得する。最年少で出場した第2回ユースオリンピックは7位。2015年に江ノ島で行われたアジア選手権U17クラスで優勝を果たす。高校入学後はRSX級(オリンピック艇)に転向。JSAF次世代強化メンバー、JWAターゲット選手として東京オリンピック出場にむけ日々練習を重ねている。 取材・文/小野田 衛 企画・撮影/丸山剛史
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