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「アニソン好き」「嬢メタル好き」が恥ずかしくて人に言えなかった…失われた20年の苦い記憶【山野車輪】

嬢メタル、メロスピ差別の苦い体験

 筆者は嬢メタルにハマった。だがそれはしばらくして、また別の差別にさらされていたことを知る。嬢メタルとは、ヘヴィメタルの中では、馬鹿にされる存在だったのである! 一体どこまで筆者の趣味は嬲られるのか! 恥ずかしさから逃れるための嬢メタルも、「恥ずかしい」趣味だったのである。  そこで今度は、洋楽ヘヴィメタルを本格的に聴き始めるのであった。「今や世界が熱狂する『ジャパニーズ・メタル』 長らく押し込められた暗黒の時代を振り返る」で書いたとおり、筆者は洋楽ヘヴィメタルの中でも、ジャーマンメタルのバンド群にハマった。後の“メロスピ”の起点となるムーヴメントである。そしてメロスピもまた、メタラー間では蔑視されがちなサブジャンルだった。  インターネットによってメロスピ・ムーヴメントが可視化された2000年代頃は、筆者のメロスピ熱はすでに冷めつつあったが、仮に追いかけ続けていたならば、またも馬鹿にされる事態になっていただろう。ただしこの頃になると、もう偏見や蔑視については気に留めなくなっていたのだが。  いずれにしても、筆者はこのような苦い体験を味わってきたこともあって、「偏見」や「差別」については特に否定的な立場である。  しかし世の中は広いもので、自ら「差別されている被害者」と規定して、「差別の当たり屋」という「被害者ビジネス」を行なう連中が存在することを知る。そのような人たちの精神力には本当に感心させられてしまう。尊敬はしないけど。
(やまの・しゃりん)漫画家・ジャパメタ評論家。1971年生まれ。『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)シリーズが累計100万部突破。ヘビメタマニアとしても有名。最新刊は『ジャパメタの逆襲』(扶桑社新書)
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ジャパメタの逆襲

LOUDNESS、X JAPAN、BABYMETAL、アニメソング……今や世界が熱狂するジャパニーズメタル! !  だが、実はジャパニーズメタルは、長らく洋楽よりも「劣る」ものと見られていた。 本書は、メディアでは語られてこなかった暗黒の時代を振り返る、初のジャパメタ文化論である。★ジャパメタのレジェンド=影山ヒロノブ氏(アニソンシンガー)の特別インタビューを掲載!

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