スーパーから「魚売り場」が消える! 消費量は減り、価格は上昇…その背景にあるものとは?
近年、乱獲や生態系の変化による個体数の減少が問題となっている魚。広大な海だけでなく、より身近なスーパーの魚売り場でも魚は姿を消していた! 見慣れたはずの陳列棚が変化、消滅の危機に瀕している理由をさまざまな角度から探った。
近年、「魚離れ」が叫ばれている日本の水産業。漁獲量や消費量の減少、価格の上昇など、問題は山積みだが、その波は消費者の足元にまで押し寄せている。
「ここ数年、鮮魚売り場の面積を減らしたり、売り場そのものをなくすスーパーが増えています」
そう語るのはフードコンサルタントの池田恵里氏。特に都心部の小型スーパーではその傾向が強く、取材陣が何店舗か回ってみると、魚は精肉コーナーのなかに交じり、2種類ほどのパックが置いてあるだけという店舗がほとんどだった。
「都市型スーパーは600~800坪ほどの広さが標準的ですが、さらに狭い200坪で利益を確保出るように模索している。自ずと人気商品だけに絞られ、結果、鮮魚売り場が淘汰されているんです」
また、店内の動線の変化にも“魚売り場消滅”の予兆が表れていると言う。
「これまでは店内に入ると青果、鮮魚、精肉という順番で並んでいたのに、鮮魚と精肉の位置が逆転している店が増えている。魚離れが進んだことで、より奥に配置されるようになっているんです」
では、このような状況になっているのには、どんな原因があるのか? まずは魚の消費量そのものが低下していることが挙げられる。
「水産物の消費量は過去10年間で約25%低下しています。これを食い止めるため、今年の4月には新しい水産基本計画が策定され、生産者、小売業者、外食業者が連携して水産物の普及を推進していこうとしています」(水産庁担当者)
4分の1も消費量が減れば、売り場が小さくなるのは当たり前だ。
また、あるスーパー関係者は鮮魚売り場を管理する手間や人材難について指摘する。
「総菜や精肉部門に比べて、鮮魚部門は衛生管理にも気を使うし、日持ちしないから、商品の入れ替えも激しい。バイトからも不人気なので、売り場を小さくして、ほかの部門と掛け持ちさせるなどして対応しています」
同様の悩みを抱えているのは、スーパーだけではない。都内の居酒屋店主は次のように語る。
「ツマミとしても人気ですし、新鮮な刺し身は多少値段を高くしても売れるんです。面倒なのは調理する側。板前さんは専門性が強いから、焼き場と比べてやれる仕事が限られるわりに人件費はかかる。かといって、高齢で気難しい人が多いし、給料を下げて辞められると次の人を探すのにも苦労する。魚は調理する側もされる側も管理がやっかいなんです(苦笑)」
鮮魚売り場がすでに消滅した店舗も
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