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異動先でなじめず、邪魔者扱いに…若手の悩みに人材開発のプロが出した答えは?

 2017年は「働き方改革元年」と呼ばれ、「プレミアムフライデー」施策のスタート、さらにソフトバンクやDeNAなど大手企業による副業解禁が話題を集めた。しかし、そんななかで若手社員の新たな悩みや戸惑いの声も多く聞かれる。 ビジネスマンイメージ 企業へのコンサルティングや研修を提供する株式会社アイマムの代表取締役社長、嶋谷光洋氏(55)と、学生時代、2つの国際協力団体で活動し、現在はアメージング出版(合同会社AmazingAdventure)を経営するなど、若者の労働環境をよく知る千葉慎也氏(30)に、今時の若手社員の悩みや、上司が取るべき対応について語り合ってもらった。 ◆ ◆ ◆ ◆

「異動先の部署に馴染めなません…」(Eさん・28歳)

「入社5年目にして内勤から営業の部署に異動になりました。部署が変われば、会社のイメージもガラッと変わるもので、これまで大手ならではの穏やかな印象だった弊社が、モーレツ営業、泥臭い会社だったことを知りました。そんななか、なかなか新しい部署にも馴染めず、成績も苦戦。最初のうちは優しかった先輩からも、徐々に邪魔者扱いに。なんとか営業の成績を上げたい!また内勤の部署に異動したい!どうしたら良いでしょうか?」(不動産・営業職・男性)
株式会社アイマムの代表取締役社長、嶋谷光洋氏

嶋谷光洋氏

嶋谷:何をもって「モーレツ営業」と言っているのか、この文章を読んだだけではわかりませんが……。根性論で、ただただ長時間労働をさせられるだけなのか、みんなでお客さんにどう喜んでもらおうか、とことん突き詰めて考える「モーレツ」なのか。質か量かで話が変わってきます。  もし後者のケースで部署に馴染めないと感じているなら、周囲に彼の腹が決まってないことが伝わっているんじゃないでしょうか。営業成績が振るわないから邪魔者扱いされているのではなく、仕事に対する情熱が感じられないからかも。  一方、もし彼の上司の立場で考えるなら、成績の上がらない部下につっけんどんな態度を取るのではなく、部下の思考力やモチベーションが高まるナイスな質問をしてほしいと思う。部下の頭の中は上司の質問によって形成されると伝えたい。  例えば、業績が出ない部下に「目標達成してないじゃないか。何でできないんだ。」という言葉ではなく、「何か困っていることがあるのか?」「本当の課題を皆で見つけてみようか」「私も含めてチームで支援できることはないか?」と。こういった質問に変えていく。上司が部下に向き合えば、部下は心置きなく顧客に向き合えるから業績は自然に上がる。 千葉:これも前回の話と重なりますが、今の仕事を辞めることが怖いという気持ちがどこかにあるんでしょうね。合わない仕事に執着し続けることは自分にとっても、周囲にとっても良いことがない気がします。  僕は大学を卒業して業界のトップ企業に就職して、仕事も楽しくそれなりにやりがいも感じていたのですが、あるときに「仕事への想いの面でこの人には敵わないな」と思う上司に出会い、辞めることを決めました。他に自分が1番になれる場所を探そうと思うようになったんです。 嶋谷:漠然とした不安で自分に合ってない会社に居続けると体が先に悲鳴を上げて原因不明の体調不良になってしまうことがある。自分に合ってないところで働くことは大きな時間の無駄遣いだと思いますし、いい習慣も身につきません。そんな時は体が喜べそうな新しい職場を見つける道に一歩踏み出す勇気が持てるといいですね。

「読んでおいたほうがいい本は?」(Fさん・29歳)

「何か若いうちにやっておいたほうがいい趣味・資格。読んでおいたほうがいい本などあれば教えてほしい」(飲料・宣伝・女性) 嶋谷:7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー著)を10回読むことをオススメします。古典的な名著であり、誰にでも当てはまることが書いてありますから。 千葉:資格かぁ……。資格って、そんなに大事ですかね? 嶋谷:さっき君が言っていたけど、資格取得より「何かで1番になること」を目指したほうがいいです。すごく小さなことでもいい。例えば「机の整理をさせたら右に出るものはいない」とか、「スーツのセンスは社内でトップ」とかね(笑)。 千葉:一見役に立たなそうなことでも、何か自信を持って特技と言えることが一つでもあれば、それが仕事になる時代になってきている気がしますね。 嶋谷:コンサル業界にも中小企業診断士という資格があります。言葉は悪いですが、資格を持っていたって使えないコンサルタントなんて山ほどいるんですよ。そういうコンサルタントは自信がないから資格を取り、取れば食っていけると勘違いしているんです。
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「パワハラ上司が会長の親族で困ってます」
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