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石破派の山下大臣だけが唯一、安倍首相が選んだ人事。なぜか?――倉山満

言論ストロング

首相官邸公式Twitterより

大マスコミは派閥ごとの大臣の数だけを報道するが、大臣の椅子の重さは違う

 世の中えてして、何が書かれているかよりも、何が書かれていないかのほうが大事だったりする。 「俺の名前がないな」  そう思った人もいるのではないか。  安倍内閣は見事なまでに派閥均衡人事を維持した。内閣の要の官房長官は表向き無派閥だが安倍首相直系の菅義偉。消費増税を担当する副総理・財務大臣に麻生太郎。党を握る幹事長には二階俊博。見事に主流3派を維持している。  幹事長のほか、政調会長と総務会長を三役、最近は選挙対策委員長を加え党四役と言うが、これまた上位派閥で分け合っている。
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第4次安倍改造内閣

 大マスコミは派閥ごとの大臣の数だけを報道するが、大臣の椅子の重さは違う。官房長官と財務大臣に加え、外務大臣は国政の中心である。この3つは「主要閣僚」である。ここでは麻生派偏重が目につく。  政治家がなりたがる大臣ポストを、口さがない人は「利権閣僚」と呼ぶ。  産業界全体に睨みを利かせる経済産業省、農協を抱える農林水産省、旧郵政省を併合したのみならず古くは内務省にさかのぼり地方行政を司る総務省、旧建設省と旧運輸省すなわち土木と道路を握る国土交通省。多くの自民党政治家が、涎を垂らしながら寄りつく役所である。副大臣や政務官でもなれば「男子の本懐」、これらの関係では党の部会でも朝から満席である。 「利権閣僚」の配分を見渡せば、二階派が目立つ。総務大臣も表向き無派閥だが、二階系と目される。二階派は選挙と党人事の権限を握る幹事長に加えての配分なので、表向き3閣僚どころか、5ポストである。第5派閥だが、常に主流派として支えてきた見返りだ。  安倍首相は自分の子飼いを経産大臣に、さらに他派閥ながら忠誠心が厚い子分を最近はプレゼンスが上がる経済再生担当大臣(昔の経済企画庁長官)に、それぞれ留任させた。こういう人事を政治のプロは「お友達」人事と呼ぶ。  なお、昔は厚生労働大臣、今は国土交通大臣が連立与党である公明党の指定席である。  伴食大臣とは、「名ばかり大臣」の意味で、帝国憲法の時代から言われる言葉だ。最近では死語だが。なぜなら「大臣と名がつけば、なんでもいいから一度はなりたい」と妄執を抱く「大臣病患者」が永田町に蔓延して数十年どころか100年くらいたとうとしているからだ。大臣の中でも格が落ちる。それでも大臣ならマシで、昔で言えば長官級だったポストもある。この辺りは一括りだ。この括りに、ようやく非主流派の弱小派閥が登場する。
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石破派の山下大臣だけは、唯一、安倍首相が選んだ人事だ。なぜか?
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