「天才」と「凡人」。 　僕ら東大生が、最も悩む言葉です。テレビなどのイメージで「博識な東大生」というイメージがついた結果、僕らもそのように見られるようになってしまったためです。僕自身の経験を元にした感覚でいうと、「地頭がいい」とか「自分とは違う」といわれることが非常に多いような気がしています。 　では、東大生は本当に「天才」の集まりなのでしょうか？　東大には毎年約3000人の入学生がいます。その3000人の東大生たちは全員が全員、天才なのでしょうか？　僕はそうではないと思います。 　もちろん天才も含まれてはいるのですが、せいぜい3000人のうちの3％前後、100人程度です。残りは努力を重ねた凡人たちが占めています。 　この「天才」と「凡人」は、それぞれが積んできた勉強方法のタイプによって分けられると思います。「天才」タイプの受験生たちは、およそ凡人の僕らではまったく想像もつかないような方法で勉強します。 　たとえば、僕が「間違いなくこの人は天才だろう」と思っている東大の友人は、あるとき、地理の点数が中々上がらずに悩んだそうです。 　ここで僕を含む凡人ならば「よし、地理の点数をあげるためのテクニックを身につけよう！」とか「過去問を見て傾向を知ろう！」のように考えると思うのですが、彼は違いました。 　なんと彼は世界中の地理に関するあらゆるデータが掲載されているデータブックを用意して、それをすべて暗記したのだというのです。この本には世界中の各地域、産業に関するあらゆるデータが年代別に載っていますから、覚えるデータの数は1000や2000などでは済みません。力業の最たるところ、ゴリ押しの極みではありますが、まさに「天才」だからこそ為せる業だといえるでしょう。