更新日:2022年08月06日 02:13
仕事

日本企業で「新規事業」がなかなか進展しない“意外で、深刻すぎる背景”

「成功への距離感」を見誤ってしまうワケ

ストレス どうして進められないのかを聞くと、プライベートで遊んでいる分にはSNSなどいろいろなツールを使えても、会社としてやろうとなったとき、インフルエンサーだの好事例だのが世に溢れているので、「成功への距離感」を果てしなく感じてしまうことがあるようです。  スベったときにそれがそのまま残ることへの過剰な怖さ、炎上することへの怖さ……皮肉なもので、いろいろなものをゼロリセットさせられるのがアナログと違ったデジタルの特徴でもあるように思いますが、アナログよりも傷跡が残るようになっています。  初めてSNSを運用するのであれば、もともとないアカウントを作るわけで、今より何か下がるものもない、いざとなったら「ごめんなさい」を発信してすぐにアカウントを消してしまえばいい。よほどのことでもない限り、取り返しのつかなくなるようなことはない、そう私が投げかけてもあまり功を奏しません。

遅々として進まない「新しい取り組み」

 原因としては、ネットやSNSで膨大な情報が見えてしまい、隣の芝生が青く見えていることではないかと考えられます。  筆者は停滞した会社を再建することを主な仕事にしていますが、そうした会社に共通することとして、仕事のやり方を修正することや新しい取り組みをスタートすることに慣れていないため、条件反射的に拒否反応を示すことがあります。  たとえば、BtoCのビジネスをしているのに、WEBやSNSの改善にちっとも取り組んでいない会社というのは、なぜかたくさんあります。  そうした会社で「やるべきなので、やりましょう」という話をすると、それまでちっとも真剣に自社のWEBやSNSについて考えてなかった担当者(担当なのに……)が、急にいろいろと調べてきて、「ここはやはりその道のプロに頼まないとダメだと思います。つきましては外注委託費●百万円は最低必要です」とか言ってきたりします。
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株式会社リヴァイタライゼーション代表。経営コンサルタント。東京大学大学院修了後、投資会社、経営コンサルティング会社で企業再生などに従事したのち、独立。現在も企業再生をメインとした経営コンサルティングを行う。著書に『好景気だからあなたはクビになる!』(扶桑社)などがある

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