更新日:2022年08月06日 02:13
仕事

日本企業で「新規事業」がなかなか進展しない“意外で、深刻すぎる背景”

いきなり100点を目指すから手が止まる

ビジネス 仕上がりの姿だけ見るので、そこに至る過程の地味な努力は端折られています。だから、今日明日の果実を欲しがりすぎになります。何かをするとき、いきなり100点が得られるものだと考え、それを「一瞬だけ」目指してしまいます。  ところが具体的にその直後から何か始めようと思うと、「あれ? まず何するんだ?」「うわ、(100点まで)遠いなあ」となって、手が動きません。  そうして寝ている間に、ウサギと亀のように20点、30点を目指して行動してきた人に抜かれていってしまいます。

「効率」ばかりに焦点が当たることの問題点

 また、SNSなどにアップされる成功例の話題は「効率」に焦点が当たることが多いように感じます。そこには「効果(額)」が抜けてしまいがちです。  たとえるならば、「1か月で100万円儲かる(かもしれない)」ということを情報収集して研究して考えて、ちょっとだけやってみて失敗しそうになってやめて、1年経って何も得られてない人がいる一方で、「面倒だけど1か月に(確実に)5万円儲かる」を進めて、「1年続けて60万円を得て、翌年は月6万円にして年72万になる」ということのよさが置き去りになる風潮です。  ほかの例では「気の利いた会話ができないし、人間関係が苦手」という人も多いと思います。筆者もその一人でした。  ただ、こっそり本をたくさん読みながら、そんなに親密にはならないであろう人と話す場で思うがままに何も気にせず話し、スベって肌寒い思いをたくさん重ねることでちょっとずつ相手に応じた会話を身に着け、仕事上はギリギリ通用するかであろう人間関係を作る術を身に着けてきました。  いきなりシャンパンがかちゃーんとするようなキラキラパーティに行って気の利いた会話ができるわけではありません。仕事以外ですと、今も相変わらず会話が苦手なままです。
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「目先のちょっとした面倒」から逃げない
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株式会社リヴァイタライゼーション代表。経営コンサルタント。東京大学大学院修了後、投資会社、経営コンサルティング会社で企業再生などに従事したのち、独立。現在も企業再生をメインとした経営コンサルティングを行う。著書に『好景気だからあなたはクビになる!』(扶桑社)などがある

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