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いまの日本を支配する「岸田総理さえ逆らえない同調圧力」/倉山満

人は宗教からは逃れられない

 三十年戦争の末の1648年。ウェストファリア会議において、「心の中では何を考えても良い!」とヨーロッパ中の国王たちが合意した。これにローマ教会は反発し、争いはまだ続いた。それまでは、「心の中で違うことを考えているかもしれない者は、殺さ“なければならない”」だった。それが「殺さ“なくてもいい”」になり、「殺しては“ならない”」になった。  西欧の歴史に詳しくなくても、魔女狩り(異端審問)くらいは知っているだろう。異端審問は、「疑わしきは死刑」「拷問なしで死ねるのは貴族の特権」「なぜなら神の名で疑われたこと自体が有罪の証拠だから」とのカルトな論理で行われた。やったのは、己の正義を信じた人たちだ。  人はなんらかの価値観に従って生きている以上、宗教からは逃れられない。「自分は無宗教である」と宣言しても、それ自体が一つの価値観、「無宗教という宗教」だ。ちなみにかくいう私は、不可知論者。宗教を「神のような人知を超越した存在を信じること」と定義すれば、「神がいるのかいないのか自分で理解できないし証明もできないのでわからない」とする立場が不可知論だ。

見当違いのバッシングにご用心

 ところで、立憲民主党の打越さく良参議院議員が旧統一との関係が取りざたされてきた山際大志郎コロナ担当大臣に「貴方が統一教会の信者ですか」と聞いていた。山際大臣、非常に困惑していたが、当然だろう。聞かれる前に自らの宗教を公表するのは自由だ。だが、「お前の信じている宗教はなんだ」と権力を持つ者が公開の場で聞くとは、魔女狩りの歴史を知らないのだろうか。  相手が「統一」と疑われるなら何をやっても良いとは、いつから日本は前近代に逆戻りしたのか。コロナ禍からか。ならば言おう。マスクをしてない者だけが「統一」に石を投げて良い。今の日本、カルトの“マスク真理教”の支配下ではないか。  もちろん、かつての旧統一教会が世間を騒がせたのは事実だし、今も被害者がいるなら厳正に調査の上で対処すべきだ。だが、「そんなことで叩くのか」という事例も多い。  見当違いのバッシングにご用心。
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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