「相手に寄り添う」には「かもしれない」と類推すること【魂が燃えるビジネス】
―[魂が燃えるメモ/佐々木]―
いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるビジネス」とは何か? そのヒントをつづる連載第13回
街にはそれぞれ特有の雰囲気というものがあります。先日、仕事で京都に行きましたが、ストンと落ちた筒のようなファッションの若者を多く見かけました。ブランドなら「コムデギャルソン」を好みそうなタイプです。
フッションに詳しい友人に尋ねた所、京都のファッションには着物の文化が色濃く残っていると教えてくれました。だから素材にはこだわる一方で、シルエットには疎いという傾向があるそうです。
今回はたまたま詳しい人物が身近にいて裏付けが取れましたが、大切なのは正しいか間違っているかよりも、目に留まった物事から「こうなのかもしれないな」と類推する態度です。その積み重ねによって私たちは相手に寄り添えるようになります。
街を歩く人々を見ればその街全体の雰囲気がつかめるように、相手の話を色々と聞いていれば、その人の全体像が浮かんできます。
私が生業にしているコーチングはやりたいことを応援する一方で、そのやりたいことがなぜかできないのか、原因を取り除く「悩み相談」のような一面もあります。しかし、相手がいきなり「実は……」と深刻な悩みを打ち明ける訳ではありません。「これといって悩みはないけれど、ただ話がしたい」という形で始まるケースも珍しくありません。
「悩みはないけれど」と言われて、「この人は悩みがないんだな」と考えるならば、それはやや素直すぎます。相手にまったく寄り添っていません。
悩みがないと言う場合、「本当に悩みがないケース」と「自分は悩みがないということにしているケース」に分かれます。そのどちらかなのかは、むしろ世間話を通じて明らかになります。身近な出来事について話す際の、感情の混じり方や理屈の作り方が、相手のテーマや悩みを指し示すからです。
「素材にこだわる一方で、シルエットには疎い。それは着物の文化に由来している」というのは、京都という街にある一つのテーマです。しかし京都を歩いていても、そんなことは誰も教えてくれません。ただ、そのテーマにたどり着ける材料は「街を歩く人々」という目に見える形で誰にでも提示されています。
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コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中
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