せくーすだぁ!?

 夜、渋谷の街を歩いていると合コンの一次会が終わったらしき、
30代前半のサラリーマンと、20代後半のOLの小集団に出くわした。

二次会、どこ行く?

ってことで、全員が立ち往生……という、よくある光景だが、そのうちのかなり泥酔した一人の男が、

セクースしよ! みんなでセクースしに行こ!!

と、大声でわめき立てるのを聞いて、私はドン引きしてしまった。

 なににドン引きしたかと言えば、初対面(おそらく)の女性に、会って2時間そこそこでいきなり性交を提案する、いささか非常識な行動ではなく、セクースという言葉そのものに対してだ。

 セクースとは、言わずとも知れたセックスのことである。

 発信はたしか、メンズエッグとか、そんなあたりだったのではないか。

 そこから爆発的に浸透し、もう5年くらい前だろうか(もっと前かもしれない)、
ボウフラのような若者たちが、一時期こぞって使っていた記憶がある。

 私は、セックスを、一般的には明石家さんまが広めたとされる「エッチ」というPOPな言葉に
置きかえ、セックスという行為をカジュアル化してしまう風潮を前々から苦々しく思っていたが、「セクース」はもっと最悪だ。

 なにが最悪かというと、「エッチ」ほどもひねりのない、平たく言えば語感だけの勢い
頼った安直ぶり。まるで、かつてのスーフリ風レイプのような稚拙さと、悪意さえ
感じてしまうのである。

 そういえば、このセクース・リーマン、あの和田サンと同世代あたりではないのか?

 この年頃のヤツらは……と世代で切るのも乱暴だが、
どさくさにまぎれた情緒のカケラもないセックスに満足できるペラペラな輩が、
わりと今でも幅をきかせているのかもしれない。

 若さゆえの熱病みたいな、限定期間だけの流行語であって欲しい!

 もはや死語であって欲しい!

 心から願うばかりだ。セクースは!!

PROFILE

山田ゴメス
山田ゴメス
1962年大阪府生まれ。マルチライター。エロからファッション、音楽&美術評論まで幅広く精通。西紋啓詞名義でイラストレーターとしても活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など
『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)
『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)
OL、学生、フリーター、キャバ嬢……1000人以上のナマの声からあぶり出された、オヤジらしく「モテる」話し方のマナーとコツを教えます

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