ドラッグストアのお姉さん

 私がよく、
トイレットペーパーやらティッシュやら歯磨き粉やら洗剤やら風邪薬やらを
買いに行くドラッグストアで、
新しい薬剤師お姉さんが働いていた。

背がスラッと高くて、
ほぼ黒髪のロングヘアで、
歯が白くて、
真面目そうな

清楚さのただよう
漫画に出てくるような美人である。

 まだ馴れていないのか、
レジを打つ手はぎこちなく、
「ありがとうございました」
の一言とともにつくる笑顔も
どこか不自然で、
そこが逆に初々しい。

 もちろん、私は一目惚れだ。

 とは言え、会話ができるのは
もちろん、商品を購入する際の
ほんの一瞬だけ……。

 私のうしろに並んでいるお客さんの迷惑を顧みず、

ケータイアドレスを聞き出したり、
デートの約束にこぎつけたり、

なんてことは、もちろんできやしない。

 とりあえず、

普段ならそんなに飲まないトマトジュースを
あえて毎日買いに行ったり、

(以前書いたトマトジュースダイエットの実践だと自分に言い聞かせながら)

ひいてもいない風邪に一番効く薬はどれか
と訊ねてみたり、

わざとレジ前に買った物を忘れてみたり……

そんなことをしながら
懸命に彼女の気を引こうと
報われない努力をしている。

 まるで高校生ではないか!

 店先(キャバクラとかではない)で
出会った素敵なお姉さんに抱く

淡い恋心

は、今年50になる男さえをも
瞬く間に10代の少年へと変えてしまう

ということだろう。

 そして、そういう
きっかけといきさつを経て
出会った女性とは
いくら30歳近く年下であっても、
永遠に

お姉さん

なのだ。

この恋はプラトニックをつらぬこう……

と、秘かに心に誓った私であった。

 それにしても、
このお姉さんと
付き合ってる男って
いったい
どんなヤツなんだ?

 むかつくわ!

PROFILE

山田ゴメス
山田ゴメス
1962年大阪府生まれ。マルチライター。エロからファッション、音楽&美術評論まで幅広く精通。西紋啓詞名義でイラストレーターとしても活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など
『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)
『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)
OL、学生、フリーター、キャバ嬢……1000人以上のナマの声からあぶり出された、オヤジらしく「モテる」話し方のマナーとコツを教えます

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