月収・貯金が10万円以下の“下流老人”「夢はスイスで安楽死」

 現在、600万人の高齢者が一人暮らしで、そのうち半数が生活保護を受給しているという衝撃の内容が綴られている新書『下流老人』が話題だが、額に汗して働く現役サラリーマンが高齢者になるころには、今よりももっとひどい「老後総崩壊」時代が待ち構えている。先日、世間を賑わせた「新幹線放火事件」も記憶に新しいが、生活苦を訴え焼身自殺をした林崎容疑者(71歳)は「下流老人」の象徴的な存在とも言える。

 今の高齢者世代より未婚率が高く実質賃金が低い現役サラリーマン世代(30~40代)は、「年収400万円でも生活保護レベルになる」「9割が下流老人化する」とも言われている。下流ブームから10年、新たな下流の波が我々をのみ込み、気がつけば「新型下流社会」がすでに到来していたのだ。

 では、巷の「下流老人」たちはどんな生活を強いられているのか。ここではひとつの実例を紹介しよう。

◆月収も貯金も10万円以下で、頼れる身内も友人もなし。目標はスイスでの“安楽死” ~安藤健二さん(仮名・60歳) 日雇いバイト~

“下流老人”の生活に密着

お風呂は数日おきに一回、300円の区のスポーツセンターに行くとか

「最近、この先のことを考えると本当に不安になるんです」と力なく笑う安藤さん。35歳頃からずっと日雇いのバイトで生計を立てているという安藤さんの貯金は、わずか10万円以下。なぜ25年も定職につかなかったのか?

「大学卒業後、伯父の経営する会社で働いていたんですが、伯父が亡くなって会社を畳むことになり、転職した設備会社は経営が傾きクビになってしまって。一年ほど頑張って就職活動しましたがどこにも採用してもらえず、仕方なくいったん日雇いのバイトを始めたんですね。そこで、『日雇いでも一人なら十分に暮らせるな』と思ってしまったんです」

 当時は日雇いの需要が多く体力もあり、月に30万円以上稼げていたというから、そう思っても仕方ないのかもしれない。しかし、ここ数年は仕事自体の本数も減り体力もなくなり、月に10万円稼ぐのがやっと。20年近く住み続けているという、家賃2万8000円の風呂なし木造アパートでのつましい暮らしを余儀なくされている。

「食費は一食100円で抑えたいので、野菜はキャベツや玉ねぎ、肉は鶏皮や内臓系くらいしか買えません。ただ、もともと食に興味がなく、酒もタバコも好きじゃない。性欲も減退してここ10年以上女性にも興味がないし、孤独と貧乏は苦痛じゃないんですよね」

 そんな安藤さんが唯一恐れているのが、“孤独死”だという。

「就職せずフラフラしてる時期に勘当され、親とは絶縁状態。友達もいません。“人に迷惑をかけない”が信条なので生活保護も申請したくない。となると、働けなくなる=孤独死ですよね。でも、腐乱死体になったりしたら、それこそ大家さんに迷惑ですし……」

 そこで辿りついたのが、“安楽死”という選択だ。

「スイスには外国人の安楽死をほう助する団体あり、70万円出せば死体の始末までしてもらえるんです。この情報を知って安心しましたよ。早くお金を貯めないと!」

 8/4発売の週刊SPA!に掲載されている大特集『[新型下流社会]の衝撃』では、上記のような「下流老人」エピソードだけでなく、「下流社員」「下流派遣」「下流女子」など、新型下流社会を形成するさまざまな貧困層の現況に密着している。また、「老後貧困化しないための新型下流社会の歩き方」も検証しているので、現役サラリーマンならずとも誰もが必読の一冊になっている。 <取材・文・撮影/週刊SPA!編集部>

週刊SPA!8/11・18合併号(8/4発売)

表紙の人/ 山地まり

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