都会の片隅で“見えないホームレス”になる貧困女性たち
早朝の新宿歌舞伎町。出勤する会社員に交じり、足早にネットカフェに入る一人の女性がいた。名前はユミ(27歳)。彼女に自宅はなく、ネットカフェなどを転々とする生活を、なんと5年間も続けている。
「この時間は空いているから広い部屋に入れるんだ。これから夕方まで寝る。デイユースのパックで1000円くらいかかるけど、ホテルとかに比べたら安いから」
所持金は3000円。口座残高はゼロなので正真正銘の全財産だ。持ち物もバッグ一つで、洋服はコインロッカーに預けてあるという。
「よく延滞して業者に持っていかれちゃうけど、そのたびにGUとかで安い服を買うしいいかなって。今日は少し熱っぽいんだよね。保険証もないから気合で治すけど」
そう笑う彼女は一見、普通のOLのようだ。小奇麗な服装にきっちりしたメイク。容姿を見ただけで放浪生活を送っていると気づく人は恐らくいないだろう。
生活困窮者を支援する側のなかで、彼女のような存在は「見えないホームレス」とも呼ばれている。住居を持たないにもかかわらず、路上で暮らす男性ホームレスのように目につくことが少ないからだ。
「生活に困窮する若年層の女性の場合、多くは家庭の貧困やトラブルが発端です。そして、そういうコは出産が早くなる傾向がある」
そう話すのは自立支援団体「インクルージョンネットよこはま」の鈴木晶子氏だ。
「そうなると正規雇用にも就けず、大学を出たコに比べて、その後の数年間で人生が決まるほどの差ができてしまう。そして社会からも孤立する。私たちとしても彼女たちの支援は課題で、そういった女性と繋がることは難しいのです」
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