突然のリストラ&借金で失った「妻子との幸せな日々」
―[[中年破産]の危機]―
家計が厳しいという40歳から55歳までの男女200人にアンケートを取ったところ、9割もが破産の危機に直面していた。その驚くべき「中年破産」の深刻な実態とは――
◆震災を機に状況が一変。リストラ&借金で失った妻子との幸せな日々
~橋本武さん(仮名・49歳)/メーカー/年収300万円~
住宅ローンに親の介護、子供の養育費など、家計を圧迫する理由はさまざまだが、橋本武さんの場合は突然のリストラ、そしてその後の借金が人生を狂わせた。
「以前は年収500万円ほどで、妻子と普通の生活を送っていたのですが、東日本大震災を機に何もかもが一変してしまいました。東北地方の売上比率が高かったため一気に業績が悪化し、2011年の年末にリストラされたんです」
震災後、リストラの気配を感じていた橋本さんは、会社員のうちに消費者金融のカードを作っていた。当時は“今後万が一のことがあったら”というつもりで作ったそうだが、これが事態をさらに悪化させた。
「失業に加え、消費者金融に手を出したことが妻にバレて、離婚を切り出されました。慰謝料も養育費も払わないでいいから、とにかく別れてくれと……。代わりに、息子とは金輪際会わないという条件をのむことになりました」
失業や離婚調停、我が子との別れなどで疲弊しきった橋本さんは直後に体調を崩し、半年入院。
「失業後にいろいろありすぎて転職活動ができなかったので、退院後もしばらくは日雇いアルバイト生活でした。治療費や入院費を支払ったら貯金もあっという間に底をつき、結局、例のカードでさらに借金をしてしまいまして……。最終的には200万円にまで膨れ上がりました。今年の春にやっと今の会社に就職が決まり、普通の生活に戻り始めたところです」
▼収入……21万円
手取り収入……21万円(ボーナスなし)
▼支出……20万7000円
家賃……6万5000円
水道光熱費……1万5000円
スマホ・ネット代……1万5000円
食費……3万円
カードローンの返済……4万2000円
親への仕送り……1万円
交際費、雑費……3万円
▼収支……3000円
しかし、やはり月4万円の借金返済が家計を圧迫している。苦しい現状に加え橋本さんにのしかかるのが、将来への不安だ。
「実家で暮らす90歳の父は認知症を患っており、その介護をしている母も86歳。両親にはもうほとんど貯えがありません。兄弟もいないので、入院や介護、葬儀費用が必要になった場合は、さらに借金をするしかない状況です」
ようやく返済し始めたとはいえ、今後も借金が膨らんでしまう可能性をはらんでいる。そして、両親の最期を看取った後には、自身の老後が待っている。
「老後を一人で過ごすのも不安なので婚活をしているのですが、それにもまたお金が必要ですからね……。借金がなくならないことにはやはり厳しいです」
安心して生活を送れる日は来るのだろうか。
<花輪陽子氏のチェック!!>
失職中に生活費が足りず借金するケースは多いので、やはり貯蓄は大事。親への仕送りを減らしたり、スマホ代や交際費を削るなりして早く完済を。でないと引っ越しもできません。
【花輪陽子氏】
FP。新婚早々に夫婦同時失業に陥るも倹約を重ね資産数千万円を達成。著書に『共働き夫婦のマネー術』など
※写真はイメージです
― [中年破産]の危機 ―
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