セクハラで15年勤めた会社をクビになった男「転職先は残業なしで月30万円は欲しい」
―[[中年破産]の危機]―
40歳から55歳までの家計が厳しいという男女200人にアンケートを取ったところ、9割もが破産の危機に直面していた。その驚くべき「中年破産」の深刻な実態とは――
◆セクハラで解雇も、「娘・家族との時間」を最優先し転職難民に
~遠山隆さん(仮名・38歳)/無職/年収なし~
「選ばなければ仕事はある。それはわかってるんです」と言葉を濁すのは、現在無職の遠山隆さん。妻と子1人を抱える彼だが、今年3月、セクハラで15年勤めた会社をクビになった。
「前の会社は教育関係だったんですが、どうせなら別の業界へと6月に不動産関係に就職しました。でも、ノルマがきつい会社で、社員はみんなうつ病気味。しかも、ノルマを達成できないと給料が半年に5万円ずつ減っていく。こんな職場で自分をすり減らすのがイヤで、1か月で退職しました」
現在、再就職活動中の遠山さんだが、まだ就職の予定はない。金銭的な焦りはないのだろうか?
「ウチは共働きで妻にも収入があるし、11月までは失業保険が毎月20万円出るので、それを合算すればギリギリ収支は合うんです。あと、最初の会社から出た退職金が80万円ほどあるので、すぐ就職せずともなんとかなるかな、と」
▼収入……37万円
夫の失業保険……20万円
妻の収入……17万円
▼支出……36万4000円
家賃……15万円
税金……2万円
保険……2万4000円
携帯代……1万円
光熱費……2万円
食費……5万円
交際費……2万円
妻の小遣い……5万円
娘のピアノ代……1万円
学童……5000円
給食費……5000円
▼収支……+6000円
逆にいえば、12月までに就職できず、失業保険もなくなれば貯金を取り崩して生活するしか術はない。それでも彼はこう続ける。
「最近家にいる時間が増え、娘との時間を大切にしたいと思うようになったから、土日出勤がなくて、残業もない、できるだけ近くの職場がいい。ただ、家族を養うには月給30万円は欲しい。条件に合う会社は見つからないですね」
年齢はすでに38歳。選べる会社は多くない。そんな悠長なことを言っている余裕はないのでは。
<田中俊之氏のチェック!!>
セクハラも横領もそのつもりはなくやったのでは。「他者からの認識」と「自己認識」にズレがあると思われます。転職先を見つけようという危機感が感じられないのも、そこに原因があるのかもしれません。
【田中俊之氏】
武蔵野大学社会学部助教。男性学を研究し、著書『40男はなぜ嫌われるか』や『男がつらいよ』などで男性の生き方の見直しを勧める
※写真はイメージです
― [中年破産]の危機 ―
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