バイトで月5万円の53歳、認知症の母をかかえて先の見えない介護生活
―[[中年破産]の危機]―
家計が厳しいという40歳から55歳までの男女200人にアンケートを取ったところ、9割もが破産の危機に直面していた。その驚くべき「中年破産」の深刻な実態とは――
◆大手企業を早期退職後、母の介護で再就職できず月5万円のアルバイト生活
~中野隆さん(仮名・53歳)/家庭教師アルバイト/年収270万円~
実家で母親の介護中心の生活を送る中野隆さん。大手メーカー勤務だったが、6年前に会社の早期退職に応募。直後に母親の体調が悪化し、現在の生活を送るようになった。
「認知症の母を、つきっきりで介護しています。当時は転職を考えていましたが、この状況では当然フルタイムでは働けないので、4年間は退職金を取り崩して生活していました」
2年前から中学生向けの家庭教師のアルバイトを開始。現在は5人を教えており、月5万円のバイト代と母の年金17万円を合わせた22万円が生活資金だ。
▼収入……22万2000円
家庭教師アルバイト……5万円
アンケート謝礼等……2000円
母の年金……約17万円
▼支出……22万3145円
家賃、管理費、住宅ローンの返済額、
火災保険、固定資産税……4570円
水道光熱費・新聞代……1万4000円
国民健康保険……1758円
固定電話、ネット代……6111円
衛星放送受信料……1925円
ケータイ……3000円
浄水器代……1445円
ミネラルウォーター代……3888円
人間ドック費用……1865円
整骨院費用……4000円
墓地管理費……1250円
投資顧問費用……1万3833円
社労士会費……5000円
寄付……500円
食費……2万5000円
介護用品……5000円
介護費用(デイサービス週4居宅)……2万円
姉の食費……5万円
姉のお小遣い……6万円
▼収支……-1145円
「毎月の収支はギリギリか、少し赤字になるくらい。実家で家賃はかかりませんが、築25年を超えそろそろ修繕が必要になるので、そのときは貯金を取り崩すしかないですね」
家庭教師の収入も、高校入学で契約が終わってしまう可能性も。家計を100円単位で見直してやり繰りしている中野さんにとっては死活問題だ。何とか収入を増やそうと職も探しているというが、条件に合う求人はほとんどない。
「母は昼間はデイサービスに行っているので、その間に何かできればいいのですが、53歳という年齢に加え、勤務可能な場所や時間帯も限られますからね……」
先の見えない介護生活は続く。
<花輪陽子氏のチェック!!>
上手にやり繰りしていますが、デイサービスを使っている昼間に働きましょう。正社員で月17万円、清掃やレジ打ちでも10万円はいきますから、ヘルパーをMAXで雇っても余裕ができます。
【花輪陽子氏】
FP。新婚早々に夫婦同時失業に陥るも倹約を重ね資産数千万円を達成。著書に『共働き夫婦のマネー術』など
※写真はイメージです
― [中年破産]の危機 ―
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