生活苦のため38歳でシェアハウス暮らし「精神的にも苦難の道」
インフレに賃金上昇が伴わなかった結果、日本では年収500万円の平均所得層にも「生活苦」が及んでいる。SPA!が年収500万円サラリーマン1011人に実施したアンケート結果によると、45%が「昨年よりも生活が苦しい」と回答。なかでも、固定経費である住居費は最も生活を圧迫しやすい。アンケートでも、78%の人が「家賃が重荷」と回答しており、生活苦の現状を浮き彫りにしている。
◆アラフォー独身者がシェアハウスに住む
負担を少しでも軽くするために家賃の安い郊外に移住するという手もあるが、独身者であれば、住み方を抜本的に変えて家賃を下げ、都心に住み続けるという手段もある。入居者数70人という北千住のシェアハウスに引っ越した福留裕一さん(仮名・38歳)もその一人だ。
「勤めていたPR会社が経営不振で給料が減らされました。残業代も出なくなり、毎月家賃を支払うのが精いっぱいだったので、今年に入って引っ越しを決意。今は家賃4万円で初期費用のかからないシェアハウスに住んでいます」
風呂・トイレは付いているものの、部屋は3畳一間。ビジネスホテルを改装した同ハウスにはシアタールームや入居者が交流できる広めのリビングも完備されている。
「シェアハウスでは『今日、肉じゃが作ったので暇な人集まれ~』みたいなノリがあるって入居時に管理人から言われ、これは食費が浮いていいな、と思ったんです。でも、よく考えたら38歳のオジサンが20代の若者の輪に入るには相当の勇気が必要。交流する勇気もなく、今では3畳の狭い部屋に引きこもって寝るだけです。早くここから出たいのですが、給料が上がる見込みもない。一生この暮らしかと思うと、夜も眠れなくなりますね」
最近、唯一できたシェアハウスの友達は、売れない地下アイドル。手売りのチケットを大量に売りつけられ、困っているという。
「入居者同士のグループLINEがあって、その中で仲良くなることもあります。ただ、大半は『俺のシャンプーを勝手に使うな』『誰か化粧水使ったでしょ』とかのケチくさい話ばかり。学生が多いので、仕方ないとは思うのですが、38歳にもなって僕も同じレベルの人間なんだな、と思うと悲しくなってきます」
アラフォーになってのシェアハウス暮らし。金銭的な苦しさの果てには、精神的な苦難の道が続いている。
<取材・文/山田ジン 撮影/西田 航>
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