「沖縄の米軍基地を大阪で引き取る」運動の波紋 “他人事”から“自分事”としての議論に大きな反発も
きっかけは、’07年、ある集会で沖縄の女性から普天間飛行場の県外移設を求める署名を求められたこと。松本さんは、「基地解消にはつながらない」と署名しなかったが、後で考えた。沖縄県外移設運動は、本土から見れば「引き取り運動」になる。それは、“他人事”から“自分事”としての議論を起こすのではないかと。
そして「引き取る・大阪」を設立するのだが、そのシンポジウムや街宣行動では、仲間であった基地反対派から大きな反発があった。
「日米安保を永続させてしまう」
「基地被害の責任を取れるのか」
また同団体は、府内に9か所の引き取り候補地を挙げているが、そのひとつである八尾空港は住宅に近く、数年に一度はセスナ落下事故があるだけに、近隣住民は引き取りに「とんでもない!」との声を上げる。まだ一般市民の理解には遠いのが現状だ。
「米軍基地がないほうがいいのはその通り。でも、今の反基地運動は反対を続けることが目的になってしまっている。まずは、沖縄に基地を押しつけている差別を解消するのが先です」(松本さん)
⇒【資料】はコチラ(大阪の基地引き取り候補地)https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1249348
【大阪の基地引き取り候補地】
「引き取る・大阪」では沖縄の米軍基地を引き取る候補地を選出した。辺野古新基地の面積をカバーできるだけの広さをもった埋め立て地「夢洲(ゆめしま)」や、飛行機の離着陸に余裕があり、軍民共同使用の可能性がある「関西空港」や「八尾空港」など9か所。今後は、引き取り実現のための街頭署名などを実施する。基地被害を懸念する人はいるが、それは沖縄ですでに起きていることであり、今こそ責任逃れをせず、皆で話し合って解決する方針だ。
取材・文・撮影/樫田秀樹
― 「米軍基地を本土へ」運動を追う ―フリージャーナリスト。社会問題や環境問題、リニア中央新幹線、入管問題などを精力的に取材している。『悪夢の超特急 リニア中央新幹線』(旬報社)で2015年度JCJ(日本ジャーナリスト会議)賞を受賞。Twitter:@kashidahideki
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