「君は素敵すぎる。これがラテンのノリか!」――46歳のバツイチおじさんはダンスフロアで恋に落ちた〈第33話〉
「いかんいかん。邪念を捨てなければ。これは修行だ」
20代のインド人の先生がやってきて、インドの山奥ならぬインドの海辺でヨガレッスンが始まった。ヨガはシヴァナンダ・ヨガと呼ばれる種類のもので、ハタヨガから枝分かれしたものらしい。ストレッチを中心に体幹を鍛えるポーズが中心だ。
実は俺、離婚届を突きつけられた後、日本で3か月ほどホットヨガに通ったことがある。いつもヨガが終わると立てないほどボロボロになっていた。ここ南インドのヨガは日本のホットヨガのようにサウナに入らなくても汗は次から次へと出てくる。それもそうだ。気温は35度近く。普通に歩くだけでも汗が滴り落ちる暑さだ。途中から息をゼイゼイさせながらヨガを続け、終わる頃にはボロボロになっていた。
ヨガマットを片付けようとしていると、一人の白人女性が話しかけてきた。
白人女性①「お疲れさま~。ここに泊まってるの?」
俺「うん。ここの一階に」
白人女性①「私、2階に泊まってるマリー。よろしくね!」
俺「あ、ごっつです。よろしく。マリーはどこの国の人?」
白人女性①「アメリカよ。あなたは?」
俺「俺は日本っス」
白人女性①「あ、日本か! 私、旅しながら世界各地でスカイプ英語の先生やってて、日本人の生徒も3人いるのよ」
俺「へぇ~。俺もこの旅でフィリピンの格安英語学校に通ったんですよ」
すると、カップルで来ていた20代白人女性のほうも話しかけてきた。
白人女性②「え? 日本? 日本のどこ?」
俺「…あ、はい。今は東京に住んでるよ」
白人女性②「えーー最高! 東京大好き~。すごい綺麗だし」
俺「君は?」
白人女性②「あ、突然ごめんね。私たちはロンドンから来たの。ジュリです」
俺「あ、ごっつです。よろしく!」
なんかヨガやったら二人の白人女性から話しかけられた。
「邪念がないのが良かったのかな?」という邪念が湧いてきた。
やばいやばい。
俺は意識を集中させてふつふつと湧き上がる邪念を消した。
マリー「ねぇ、ごっつ。今晩何やってるの?」
俺「いや、特に予定はないスけど」
マリー「今日ね、ここの宿の主催でパーティーがあるの。良かったら一緒に行かない?」
ん? なんだこの展開。
まるでアメリカの青春ドラマみたいだな。
俺「あ、いいね! 行く行く」
マリー「じゃあ、私たち8時に集まって一緒に行くから一緒に行こうよ」
俺「了解~。じゃあ8時に」
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