「君は素敵すぎる。これがラテンのノリか!」――46歳のバツイチおじさんはダンスフロアで恋に落ちた〈第33話〉
それは……
ジャーン ジャーン(ドラの音)
『蛇拳』
40代の日本男児なら一回はゴールデン洋画劇場で放送されたジャッキー・チェンの拳法に心を打たれたはず。
俺もご多分に漏れずにはまった。
「昨日の友も明日はリンチ」という九州大分市のヤンキー中学時代、喧嘩になったら使おうとジャッキー・チェンの蛇拳のオープニングをビデオカセットで録画し、何度何度も繰り返し観て、完璧すぎるほどの完コピに成功したのだ。
蛇拳は香港映画じゃねーか。
日本男児は関係ねーよ。
そんなツッコミがあるかもしれないが、この際関係ない。
背に腹は代えられない。
向こうから見れば、中国も日本も似たようなものだ。
顔似てるし。バレねーよ、きっと。
俺はインド音楽のリズムに乗りながら、蛇拳を始めた。 これぞ、俺が開発した ジャーン ジャーン(ドラの音) 『蛇拳ダンス』 アメリカ人のタコ野郎なんかに負けてたまるか日本男児! 俺は正確で素早い動きで蛇拳ダンスを始めた。 すると、インド人がいち早く反応した。 俺の指先の蛇の表情が変わるたび、インド人の歓声が巻き起こった。 ボリウッドムービーに慣れ親しんでいるインド人にとっては、よっぽど珍しい動きだったのかもしれない。 俺の一挙手一投足に注目が集まった。 俺はジャンプして蹴りを加え、ゆっくりとポーズを決めた。 すると、インド人から大拍手が起きた。 気づくと同じ宿のヨガ仲間のマリーやジュリ、ルッチも盛り上がっている。 もはや誰もタコダンスなんかに注目をしていなかった。 「どうだい、ガルシア?」 俺はガルシアの顔を見た。 すると、ガルシアは俺を見てニコニコ笑ってる。 彼女と目があった。 ガルシアは俺の目を見つめて優しく微笑み返した。 「おっーしゃーーーーーーーーー!」 どうだ、タコ野郎! オメーのタコダンスなんか糞だよ。 俺は長身長髪のタコ野郎を見つめた。 「……勝った」 俺が心の中で呟いたその時だった。 俺と目があったタコ野郎は、俺の目をじっと見つめたまま、激しいタコダンスを始めたのだ。 完全に俺を挑発している。 「なめんなよ」 俺はタコ野郎の安い挑発に乗った。 ゆっくりと手首の蛇の顔をタコ野郎に向けた。 そして、ジャンプしてポーズを決めると、タコ野郎に向けて蛇拳ダンスを始めた。 すると、奴も俺に向かってタコダンスを始めた。 ここからは男と男の真剣勝負。 まさに日米対決。いや、 タコvs蛇 くねくねした生き物の頂上決戦だ! 俺たちはチリ人美女ガルシアを競って真剣勝負を始めた。 その戦いはB級カルト映画のようだった。 途中から、俺は激しいタコの動きに合わせて蛇を動かした。 楽しい! 楽しいぞ! ふと我に返った。 「あれ? 俺、何やってんだっけ?」 俺たちは、すっかりガルシアのことを忘れて異種格闘技にのめり込んでしまっていたのだ。 またやってしまった……。 俺は一つのことに集中すると全てを忘れてしまう。 ガルシアはきっと呆れてるに違いない。 彼女はもっとクールで情熱的なラテンなダンスをしたかったに違いない。 俺は自分自身の虚栄心と想像力の欠如を激しく恥じた。 その時だった。 ガルシアが俺たちダンスに混じってきた。 ガルシアは俺たちのダンスに合わせ超楽しそうに踊っている。 「ガルシア、君は素敵すぎる。なんてノリがいいんだ。これがラテンのノリなのか!」 再びガルシアへの恋心はさらに深まった。 タコ vs 蛇 vs ラテン美女 3人3大陸3生物のコラボレーションはその夜、深夜のバルカラビーチの中で誰よりも輝いていた。 俺たち三人が、完全にこのダンスフロアを、このパーティを支配した。 しかし、不思議な出会いで始まった奇妙な3人がこの後、ドロドロの愛の三角関係に陥っていくなんて、この時はまだ誰も予想だにしていなかった――。 次号予告『タコ vs 蛇 vs ラテン美女の戦いは始まったばかり。ドロドロの三角関係を制する者は!?』を乞うご期待!
1969年大分県生まれ。明治大学卒業後、IVSテレビ制作(株)のADとして日本テレビ「天才たけしの元気が出るテレビ!」の制作に参加。続いて「ザ!鉄腕!DASH!!」(日本テレビ)の立ち上げメンバーとなり、その後フリーのディレクターとして「ザ!世界仰天ニュース」(日本テレビ)「トリビアの泉」(フジテレビ)をチーフディレクターとして制作。2008年に映像制作会社「株式会社イマジネーション」を創設し、「マツケンサンバⅡ」のブレーン、「学べる!ニュースショー!」(テレビ朝日)「政治家と話そう」(Google)など数々の作品を手掛ける。離婚をきっかけにディレクターを休業し、世界一周に挑戦。その様子を「日刊SPA!」にて連載し人気を博した。現在は、映像制作だけでなく、YouTuber、ラジオ出演など、出演者としても多岐に渡り活動中。Youtubuチャンネル「Enjoy on the Earth 〜地球の遊び方〜」運営中
俺はインド音楽のリズムに乗りながら、蛇拳を始めた。 これぞ、俺が開発した ジャーン ジャーン(ドラの音) 『蛇拳ダンス』 アメリカ人のタコ野郎なんかに負けてたまるか日本男児! 俺は正確で素早い動きで蛇拳ダンスを始めた。 すると、インド人がいち早く反応した。 俺の指先の蛇の表情が変わるたび、インド人の歓声が巻き起こった。 ボリウッドムービーに慣れ親しんでいるインド人にとっては、よっぽど珍しい動きだったのかもしれない。 俺の一挙手一投足に注目が集まった。 俺はジャンプして蹴りを加え、ゆっくりとポーズを決めた。 すると、インド人から大拍手が起きた。 気づくと同じ宿のヨガ仲間のマリーやジュリ、ルッチも盛り上がっている。 もはや誰もタコダンスなんかに注目をしていなかった。 「どうだい、ガルシア?」 俺はガルシアの顔を見た。 すると、ガルシアは俺を見てニコニコ笑ってる。 彼女と目があった。 ガルシアは俺の目を見つめて優しく微笑み返した。 「おっーしゃーーーーーーーーー!」 どうだ、タコ野郎! オメーのタコダンスなんか糞だよ。 俺は長身長髪のタコ野郎を見つめた。 「……勝った」 俺が心の中で呟いたその時だった。 俺と目があったタコ野郎は、俺の目をじっと見つめたまま、激しいタコダンスを始めたのだ。 完全に俺を挑発している。 「なめんなよ」 俺はタコ野郎の安い挑発に乗った。 ゆっくりと手首の蛇の顔をタコ野郎に向けた。 そして、ジャンプしてポーズを決めると、タコ野郎に向けて蛇拳ダンスを始めた。 すると、奴も俺に向かってタコダンスを始めた。 ここからは男と男の真剣勝負。 まさに日米対決。いや、 タコvs蛇 くねくねした生き物の頂上決戦だ! 俺たちはチリ人美女ガルシアを競って真剣勝負を始めた。 その戦いはB級カルト映画のようだった。 途中から、俺は激しいタコの動きに合わせて蛇を動かした。 楽しい! 楽しいぞ! ふと我に返った。 「あれ? 俺、何やってんだっけ?」 俺たちは、すっかりガルシアのことを忘れて異種格闘技にのめり込んでしまっていたのだ。 またやってしまった……。 俺は一つのことに集中すると全てを忘れてしまう。 ガルシアはきっと呆れてるに違いない。 彼女はもっとクールで情熱的なラテンなダンスをしたかったに違いない。 俺は自分自身の虚栄心と想像力の欠如を激しく恥じた。 その時だった。 ガルシアが俺たちダンスに混じってきた。 ガルシアは俺たちのダンスに合わせ超楽しそうに踊っている。 「ガルシア、君は素敵すぎる。なんてノリがいいんだ。これがラテンのノリなのか!」 再びガルシアへの恋心はさらに深まった。 タコ vs 蛇 vs ラテン美女 3人3大陸3生物のコラボレーションはその夜、深夜のバルカラビーチの中で誰よりも輝いていた。 俺たち三人が、完全にこのダンスフロアを、このパーティを支配した。 しかし、不思議な出会いで始まった奇妙な3人がこの後、ドロドロの愛の三角関係に陥っていくなんて、この時はまだ誰も予想だにしていなかった――。 次号予告『タコ vs 蛇 vs ラテン美女の戦いは始まったばかり。ドロドロの三角関係を制する者は!?』を乞うご期待!
1969年大分県生まれ。明治大学卒業後、IVSテレビ制作(株)のADとして日本テレビ「天才たけしの元気が出るテレビ!」の制作に参加。続いて「ザ!鉄腕!DASH!!」(日本テレビ)の立ち上げメンバーとなり、その後フリーのディレクターとして「ザ!世界仰天ニュース」(日本テレビ)「トリビアの泉」(フジテレビ)をチーフディレクターとして制作。2008年に映像制作会社「株式会社イマジネーション」を創設し、「マツケンサンバⅡ」のブレーン、「学べる!ニュースショー!」(テレビ朝日)「政治家と話そう」(Google)など数々の作品を手掛ける。離婚をきっかけにディレクターを休業し、世界一周に挑戦。その様子を「日刊SPA!」にて連載し人気を博した。現在は、映像制作だけでなく、YouTuber、ラジオ出演など、出演者としても多岐に渡り活動中。Youtubuチャンネル「Enjoy on the Earth 〜地球の遊び方〜」運営中
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