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アメリカ軍人を味方につけたしたたかな安倍「真珠湾」外交【評論家・江崎道朗】

「捕虜・戦時行方不明者を軍・国家は決して忘れてはいない」

 飯田中佐記念碑に続いて安倍総理は「米国防総省捕虜・行方不明者調査局(DPAA)」中央身元鑑定研究所を訪問した。  この研究所には2014年秋、次世代の党代表であった平沼赳夫元経産大臣らが訪問しているものの、日本ではその存在はほとんど知られていない。が、アメリカ軍のなかでは極めて重要な研究所であり、今回の安倍総理の訪問は極めて重大な意味を持っている。  DPAAの前身は「米国国防総省捕虜・行方不明者人員調査部(DPMO)」であり、その理念は次のようなものだ。 「国は軍人との約束を遵守する(Keeping the Promise)。  国民に命をかけて国のために戦うことを求めるならば、国はそれに見合った行動を取らねばならない、との理念の下、海外において、国としての責任を果たすなかで孤立し、あるいは捕虜になる危険に陥ったアメリカ人の生命と安全を守ること。  現在、アメリカ国民が全世界で従軍していることから、国は、いつ、いかなる場所にいる戦士であっても、生きて母国に連れ戻す用意ができていなければならない」  軍人・軍属となり、国の危機を救うため職務を遂行する人々に対して、「異国で戦死してしまったとしても、国は絶対にあなたのことを見捨てず、あなたの遺骨を家族のもとに帰還します」と約束しているのがアメリカという国なのであり、その理念がアメリカ軍の精強さを支えているのだ。  こうした理念のもと1993年、これまで国防総省の中て四部にわかれていた捕虜・行方不明者のための担当部局を統一して設置されたのがDPMOである。  このDPMOの一部局として、アメリカが関わった過去の紛争において行方不明になったすべてのアメリカ人の所在を可能な限り突き止め、その遺骨をDNA鑑定し、個人名まで確定して、遺族に知らせる業務を担当しているのが今回、安倍総理が訪問した「中央身元鑑定研究所」なのである。  私も2014年の夏に、この「中央身元鑑定研究所」の前身、「戦争捕虜・行方不明者担当合同司令部(JPAC)」を訪れたことがあるが、入り口の看板には次の文字が刻まれている。
アメリカ軍人を味方につけたしたたかな安倍「真珠湾」外交【評論家・江崎道朗】

「米国防総省捕虜・行方不明者調査局(DPAA)」中央身元鑑定研究所の前身「戦争捕虜・行方不明者担当合同司令部(JPAC)」の看板の右上には、「捕虜・戦時行方不明者を軍・国家は決して忘れてはいない」という文字が刻まれている

「捕虜・戦時行方不明者を軍・国家は決して忘れてはいない」  安倍総理が靖國神社参拝をした2013年12月26日からちょうど3年目の2016年12月26日(現地時間)、飯田中佐記念碑と「米国防総省捕虜・行方不明者調査局(DPAA)」中央身元鑑定研究所を訪問することで安倍総理は「日本もまた、戦没者の勇敢さを讃えるとともに、戦没者のことを決して忘れない国なのだ」というメッセージを世界中、特にアメリカ軍関係者、そして我々日本人に送ったのだ。それが日米両国の「和解」の本質なのだ。  トランプ次期政権の中枢には、軍、とくに海兵隊出身者が多い。  日本が先進諸国並みのGNP2%まで防衛費を増加させていけば、トランプ次期政権との軍事的連携は飛躍的に進むことになるだろう。 【江崎道朗】 1962年、東京都生まれ。評論家。九州大学文学部哲学科を卒業後、月刊誌編集長、団体職員、国会議員政策スタッフを務め、外交・安全保障の政策提案に取り組む。著書に『コミンテルンとルーズヴェルトの時限爆弾』(展転社)、『日本人として知っておきたい皇室のこと』(PHP研究所)、『アメリカ側から見た東京裁判史観の虚妄』(祥伝社)、『マスコミが報じないトランプ台頭の秘密』(青林堂)など’62年生まれ。九州大学文学部哲学科を卒業後、月刊誌編集長、団体職員、国会議員政策スタッフを務め、外交・安全保障の政策提案に取り組む。著書に『日本は誰と戦ったのか』(ベストセラーズ)、『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』(PHP新書)など
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コミンテルンとルーズヴェルトの時限爆弾―迫り来る反日包囲網の正体を暴く

外国勢力に手玉に取られる日本の現状に警告を発し、日本の取るべき対応の核心を衝く


日本人として知っておきたい皇室のこと

学者、政治家、神主等の皇室論を収録。





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