「あくまでも自然な再会が運命的だ」――46歳のバツイチおじさんは灼熱のビーチを4時間近くさまよい続けた〈第34話〉
夜6時50分。10分ほど早くリトルチベットに着いた。
時間に正確なのは日本人の武器だ。ガルシアは時間に遅れるインド人に慣れてきてるはずだから、時間通りに席についている日本人は新鮮に映るはず。
ガルシア「ごっつー! もう来てたんだ」
俺「日本人は時間に正確なんだよね」
ガルシア「あはは。それはいいね!」
どうやらつかみは成功したようだ。
それからモモと呼ばれるチベットの餃子やチョウメンと呼ばれるチベットの焼きそばを頼み、ビールで乾杯した。
ガルシア「ごっつ、今まで旅してきた写真見せて」
俺「いいよ。ガルシアの写真も見せてよ」
二人でスマホを交換し、写真の見せっこした。
俺「ヨガやってるの?」
ガルシア「リシケシってヨガの聖地でアシュラムに入ったの」
俺「アシュラム?」
ガルシア「ヨガの道場で、一日中ヨガをやるの」
俺「へぇー、興味ある」
ガルシア「いいよ~。心が洗われるよ」
お互い旅人、旅の話は当然盛り上がる。
少しほろ酔いになり、いい雰囲気になってきた。
俺「ガルシアは彼氏はいるの?」
ガルシア「いないよ。旅に出る前に別れてきたの」
俺「そうなんだ。傷心を癒す旅?」
ガルシア「ははは。まぁ、そうかな~。ごっつは?」
俺「俺は旅に出る前に離婚しちゃって」
ガルシア「そうなんだ。変なこと聞いてゴメンなさい」
俺「いや、いいよ。今ね、日本の雑誌のウェブサイトに連載をしていて、『世界一周花嫁探しの旅』ってタイトルなんだ」
ガルシア「真面目に探してるの?」
俺「…うん。本気といえば本気だけど、いまはまだ離婚の傷を癒すのがメインかな」
ガルシア「じゃあ、私と同じだね」
すると、心地よい海風が吹いてきた。
サラサラのガルシアの髪を海風がゆっくりと揺らした。
ガルシアが髪を手で押さえている。
びっくりするぐらいセクシーだ。
ガルシア「波の音が聞こえるわ」
二人は耳を澄ました。
風が止むと波の音がたしかに聞こえてくる。
俺「あ、ホントだ」
ガルシア「夜の海の音ってロマンティックだね」
その後、二人で波の音を聞いた。
二人の間に静寂が走った。
ものすごーーーーくいい雰囲気だ。
俺はガルシアの目を見つめた。
目が合うと、ガルシアは恥ずかしそうに笑った。
こ、これは、旅が始まって以来、一番いい雰囲気かもしれない!
スリランカで一緒に旅した中国人美女のリーの時は、勇気が出せず、自分の気持ちをうまく伝えることができなかった。
「今度こそ、今度こそ……せめて自分の気持ちだけは伝えたい」
相手に引かれないよう、さりげなく自分の気持ちを伝える方法はないものなのか?
俺はもう一度ガルシアを見つめた。
ガルシアは俺の目を見つめ返した。
ゴクリ……。
俺はゆっくりと唾を飲み込んだ。
その時、ガルシアの目線が俺の後方に移った。
そして、ガルシアはニコリと笑った。
「何?」
俺は彼女の目線に誘導されるかのように後ろを振り返った。
「マジ!?」
1969年大分県生まれ。明治大学卒業後、IVSテレビ制作(株)のADとして日本テレビ「天才たけしの元気が出るテレビ!」の制作に参加。続いて「ザ!鉄腕!DASH!!」(日本テレビ)の立ち上げメンバーとなり、その後フリーのディレクターとして「ザ!世界仰天ニュース」(日本テレビ)「トリビアの泉」(フジテレビ)をチーフディレクターとして制作。2008年に映像制作会社「株式会社イマジネーション」を創設し、「マツケンサンバⅡ」のブレーン、「学べる!ニュースショー!」(テレビ朝日)「政治家と話そう」(Google)など数々の作品を手掛ける。離婚をきっかけにディレクターを休業し、世界一周に挑戦。その様子を「日刊SPA!」にて連載し人気を博した。現在は、映像制作だけでなく、YouTuber、ラジオ出演など、出演者としても多岐に渡り活動中。Youtubuチャンネル「Enjoy on the Earth 〜地球の遊び方〜」運営中
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