「あくまでも自然な再会が運命的だ」――46歳のバツイチおじさんは灼熱のビーチを4時間近くさまよい続けた〈第34話〉
翌日、今度は俺からガルシアに連絡をしてみた。
俺「ガルシア、今晩もご飯に行かない?」
すると、ガルシアから悲しい返事が返ってきた。
ガルシア「いいよ。実は私、明日チリに帰らなくちゃいけなくて、今晩がラストナイトなの」
えっ、そうなんだ…………。
俺「明日、帰っちゃうの?」
ガルシア「そうなの。だから今晩は盛り上がりましょう」
まじか、あと一週間ぐらいはいると思っていたのに。
バックパッカーの旅は出会いがあり、別れがある。
わかってるつもりでも、やはりお別れはさみしい。
しかもまだ、ガルシアとの関係を完全に作れていない。
気持ちも伝えていない。
蛇拳ダンスを一緒に踊った。一緒に瞑想に行った。タコ野郎と飲みながらガルシアを取り合った。
でも、何も確信めいたものがない。
ガルシアのハートをわし掴みしている手ごたえなどまるでなかった。
「よし、今夜こそ決めるぜ!」
その夜、ガルシアと待ち合わせし、屋上から星空が見える海沿いのシーフードレストランに行った。
ガルシア「素敵なお店ね。ロマンティックだわ。ありがとう、いいお店を見つけてくれて」
俺「今日はガルシアがインドにいられる最終日だからね」
ガルシア「ふふ。ありがとう」
一瞬の沈黙。
ガルシア「星、綺麗だね」
俺「うん。綺麗だね」
俺たちは無言のまま夜空を見上げた。
波音が素敵なBGMを奏でていた。
時折吹いてくる夜風が気持ちよかった。
俺たちは食事をし、お酒を飲んだ。
ガルシアも最終日だからお酒のペースが少し早い。
自分で言うのも何だが、かなりいいムードだ。
ガルシア「あー、少し酔っちゃった」
俺「最終日だしね」
ガルシア「インドに3か月いたけど、今日が最終日か。あー帰りたくない!」
俺「えー、3か月もいたんだ。インド、最高だもんな」
ガルシア「うん。インド最高! 最後の夜だからスペシャルな思い出を作りたいわ」
ん?
何だ?
何だ何だ?
スペシャルな思い出って?
それって、もしかして……
俺「スペシャルな思い出ってどういうこと?」
ガルシア「うーーん。なんか盛り上がりたいな」
俺「例えば?」
ガルシア「踊りたいなー。私、踊りたくなっちゃった」
そういえば、俺たちの出会いもダンスパーティー。
チリ人のガルシアは陽気なラテン美女。
サルサのノリ。
タンゴのノリ。
ランバダのノリだ!
俺「俺たちが出会ったイタリアンレストランに行ってみる? あそこなら遅くからダンスパーティーやってるかもよ」
ガルシア「行きたーーーい!」
俺「じゃあ、このお酒飲んだら行こうぜ!」
ガルシア「うん!」
二人で目の前のお酒を一気に飲み干した。
そして、月夜に照らされた海辺に隣接した崖の上の道を歩き、イタリアンレストランに向かった。
レストランを覗くと、まばらのだがダンスフロアで踊っている人がいる。
ガルシアはインドダンスミュージックを聞き、店の前で軽くリズムを踏み出した。
俺「ガルシア、行こうぜ!」
ガルシア「イエーイ!!」
1969年大分県生まれ。明治大学卒業後、IVSテレビ制作(株)のADとして日本テレビ「天才たけしの元気が出るテレビ!」の制作に参加。続いて「ザ!鉄腕!DASH!!」(日本テレビ)の立ち上げメンバーとなり、その後フリーのディレクターとして「ザ!世界仰天ニュース」(日本テレビ)「トリビアの泉」(フジテレビ)をチーフディレクターとして制作。2008年に映像制作会社「株式会社イマジネーション」を創設し、「マツケンサンバⅡ」のブレーン、「学べる!ニュースショー!」(テレビ朝日)「政治家と話そう」(Google)など数々の作品を手掛ける。離婚をきっかけにディレクターを休業し、世界一周に挑戦。その様子を「日刊SPA!」にて連載し人気を博した。現在は、映像制作だけでなく、YouTuber、ラジオ出演など、出演者としても多岐に渡り活動中。Youtubuチャンネル「Enjoy on the Earth 〜地球の遊び方〜」運営中
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