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――ベルトやタイトルにはこだわる?
石川:モチベーションとして、漠然とはやっていたくないというのがずっとあるんです。年齢が上がってきて、チャンスはどんどん減っていくんですけど、それでも常にベルトに挑戦できるコンディションでありたいなとは思っています。逆に挑戦したくなくなったら、辞めたほうがいいと思っていますね。
――昨年、3つのベルト(KO-Dタッグ王座、KO-D無差別級王座、BJW認定タッグ王座)獲得に加えて、「一騎当千 strong climb」「KING OF DDT トーナメント」で優勝されました。
石川:’16年は恵まれていました。体はしんどいですけど、そういうところで戦っていられるのは本当に幸せだなと思います。戦いを残したいというか、観ているお客さんに「どこまでやれるんだ?」と思わせる戦いができればなと。
――日本インディー大賞MVPと、ベストユニット賞も受賞されて、絶好調ですよね。
石川:これ以上の賞やタイトルを取ることはもうないのかなと思いますけど(笑)。まあ、タイトルは分からないんですけど、コンディションとしては常に上に上にとは思っています。まだ体力的な衰えは感じていないので。去年のように上手くいくとは思っていませんが、去年よりいい状態に上げていこうとは思っています。
――昨年、活躍できたのはなぜでしょう?
石川:一昨年の10月にユニオンプロレスがなくなって、フリーになったんですよ。そこから自己責任の部分が増えました。自分の飯は自分で食う、みたいな。恥ずかしくない戦いをしないと生き残れないというのは、フリーになってからずっとあります。
――同じフリーだと、飯伏選手と仲が良いとか。石川選手もOPG(社会人プロレス)の道場で練習されているんですよね。
石川:はい、リング練習はそこで。飯伏は発想が面白いんですよ。こういう観点で見るんだ、というのが僕にはない発想だったりします。とにかく試合がすごくて尊敬できるので、一緒に練習したりするのも勉強になるし、時々遊んでますね。飯伏とは5戦していて、3勝2敗で僕の勝ち越し。だからもう試合はやらないです。勝ち越したままで引退します(笑)。
――飯伏選手はWWEにも出場されていますが、石川選手は海外志向はないですか。
石川:飯伏に「WWEはどういう選手が来るんだ?」と聞いたら、「身体能力が化け物みたいな人が来る」って言うんですよ。NFLとかには行けなかったけど、トップアスリートになる能力を持った人たち。プロレスは好きじゃないと思うんですよね。でも職業として来ている人がたくさんいる。そういう話を聞くと、見てみたいと思いますね。WWEの中に入ったら僕はデカくないんですよ。中の上くらい。2mがポンポンいます。すごい選手を見るのが好きなので、そういう選手に触れてみたいとは思います。

尾崎ムギ子/ライター、編集者。リクルート、編集プロダクションを経て、フリー。2015年1月、“飯伏幸太vsヨシヒコ戦”の動画をきっかけにプロレスにのめり込む。初代タイガーマスクこと佐山サトルを応援する「佐山女子会(@sayama_joshi)」発起人。Twitter:@ozaki_mugiko
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