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「原発20km圏内」に残されたペット&家畜たちの今

東京のための電力が福島を苦しめている

[原発20km圏内]に残された動物たち

「希望の牧場」周辺では除染作業が始まり、汚染土を詰めたフレコンバッグが積み上がっている。その向こうには福島から東京に電気を送る送電線が見える

 同じく浪江町で「希望の牧場」を運営する吉澤正巳さんも、家畜の殺処分に抵抗して牛を飼い続けている畜産農家の一人だ。現在は300頭以上の牛を飼っている。商品価値のない牛たちを飼い続けることは、吉澤さんの“牛飼い”としての意地だという。 「ここの牛は家畜でもペットでもない。でも俺には殺せない。原発事故後、多くの牛が牛舎に繋がれたまま水も餌もなく餓死してしまった。人間のために、無駄に死なせたという申し訳なさがあります。生き残った牛にも、斑点や脱毛など被曝の影響ではないかと思われる症状が出ている。牛たちは原発の最大の被害者であり、事故を生き抜いてきた貴重な資料でもある。それを、何事もなかったかのように殺してはいけないという思いもあります」  さらに、この場所で牛を飼うということは「エネルギーの未来を考えることにも繋がる」と吉澤さんは語る。 「福島原発がつくっていた電力は、福島の人々は使っていませんでした。東京の人たちのためにつくっていた電力が、福島を今も苦しめている。その証拠がこの牛たちなんです。それなのに、日本は原発再稼働や原発輸出を進めようとしている。福島の現実を知ってもらうためにも、今後も飼い続けるつもりです」 [原発20km圏内]に残された動物たち
[原発20km圏内]に残された動物たち

吉澤さんは牛の模型を積んだ自作の街宣車で全国各地を回り、原発の被害を訴えている

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人間以外の動物はみんな被害者
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