「原発20km圏内」に残されたペット&家畜たちの今
原発事故から6年が過ぎた。原発20km圏内は3月31日に一部地域が避難指示を解除されるが、まだまだ放射線量の高い地域は多く、復興への道は険しい。そんな人の住まなくなった地域で、動物を飼い続けている人々がいる。彼らは何のために世話をし続けるのか?
’11年の原発事故から6年間、警戒区域内に取り残された動物たちを撮り続けている写真家がいる。太田康介さん(58歳)だ。事故後、人間たちは辛うじて避難することができたが、自力で避難することのできないペットや家畜は原発周辺に置き去りにされ、その多くは餓死していった。
そんな中、浪江町の赤間徹さんは、たった一人で猫80匹、犬20匹の世話をしている。現在は避難先の郡山市から通いながら、一時預かりで保護した猫や犬の里親探しを行っている。すでに猫約600匹、犬200匹を保護したという。
「原発事故後、浪江町の住民は津島という地域にいったん避難しました。そこからさらにバスに乗って避難するというとき『ペットは一緒に乗せられない』と言われたんです。そこで、多くの人は泣く泣く連れてきたペットを放しました。無事に家までたどり着いてくれることを祈って。多くのペットたちが、家に向かって道路を歩いていくのを見ました。その光景が忘れられないんです。だからまず、浪江町の動物たちだけでも保護しようと」(赤間さん)
猫のほか、20km圏内でよく見られるのは牛の姿だ。浪江町の牧場主・山本幸男さんは国からの殺処分要請を拒否。元自宅近くの牧場で50頭の“出荷できない”牛を育てている。現在は避難先の二本松市から毎日通う。山本さんは太田さんの活動にも協力、納屋には猫の餌を置いている。
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「『汚染された』といっても、それは人間の都合によるもの。牛たちには何の責任もない。食肉にもならないのに無益な殺生はできません。だから牛に『除草』という役目を持たせて、生きる意味を与えているのです」
山本さんはこの牧場を「復活の牧場」と名付けた。牛たちが死ぬまで世話をするつもりだという。
ペットを連れては避難できなかった
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