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北朝鮮のミサイル攻撃を受けたときの想定はできているか?【評論家・江崎道朗】

ミサイル攻撃を前提に、政府は「国民保護ポータルサイト」を開設

 そこで政府は、ミサイル攻撃を受けることを前提に、国民にその準備をするよう呼び掛けている。「国民保護ポータルサイト」と題する専用のホームページを開設し、ミサイル攻撃を受けた時の対応策などについて詳しく説明しているのだ。  また、地方自治体は国と連携して、いざという時、救援活動などを実施する計画となっているが、その準備を本当にしているのか、地元の地方自治体に問い合わせておくべきだろう。  本当に北朝鮮によってミサイル攻撃をされた時、どのような手順で国民に知らせるのかについて、次のように解説している。 《北朝鮮から発射された弾道ミサイルが日本に飛来する場合、弾道ミサイルは極めて短時間で日本に飛来することが予想されます。仮に、北朝鮮から発射された弾道ミサイルが日本に飛来する可能性がある場合には、政府としては、24時間いつでも全国瞬時警報システム(Jアラート)を使用し、緊急情報を伝達します。  北朝鮮が予告することなく弾道ミサイルを発射した場合には、政府としても、事前にお知らせすることなく、Jアラートを使用することになります。  Jアラートを使用すると、市町村の防災行政無線等が自動的に起動し、屋外スピーカー等から警報が流れるほか、携帯電話にエリアメール・緊急速報メールが配信されます。なお、Jアラートによる情報伝達は、国民保護に係る警報のサイレン音を使用し、弾道ミサイルに注意が必要な地域の方に、幅広く行います》  こんな仕組みになっていることを知っている国民は果たしてどれくらいいるのだろうか。北朝鮮のミサイルについてあれこれと論じるのもいいが、国民の安全を重視しようと思うならば、テレビや新聞もこうした手順について丁寧に説明すべきではないのか。肝心なことを報じないから、マスコミは信用されないのだ。  政府のこのホームページでは、ミサイル攻撃などを受けた場合の特別のサイレンも聞くことができる。パトカーや救急車のサイレン音とは違うので、いざというとき反応できるようにしておくためにも一度、聞いておいたほうがいいだろう。

自民党は、敵基地「反撃」能力保持を提案、トランプ政権も賛成か

 一方、北朝鮮のミサイルをすべて撃ち落とすことが困難である以上、国民の生命・財産を守るためには、ミサイル発射基地(正確に言えば、地上移動式ミサイル発射装置)を攻撃する方策も検討しておく必要がある。攻撃は最大の防御ともいうではないか。 そのため自民党は3月30日、北朝鮮を念頭に敵のミサイル基地を攻撃する「敵基地反撃能力」保有の早期検討を柱とする提言書をまとめ、官邸に提出、安倍総理も「提言をしっかりと受け止め、党とよく連携していきたい」と表明した。  トランプ政権の米太平洋艦隊のスウィフト司令官も4月6日、自衛隊の敵基地反撃能力保有をめぐる議論について「日本政府がその道を取ると決めれば、日米の軍事関係は容易に適応できる」と述べ、自民党の動きを歓迎した。  具体的には、今回トランプ政権がシリア爆撃で使ったトマホークという巡航ミサイルを導入することになるだろうが、海上自衛隊のイージス艦ならば直ちに導入が可能であることを米軍は理解している。  実は、敵基地反撃能力を保有することについて自民党は過去何度も議論しているが、これまではアメリカ政府が、敵基地反撃能力を日本が持つことに否定的で、議論はいつの間にか立ち消えになってきた。  ところがトランプ政権はアメリカの歴代政権のなかでも珍しく日本が軍事的に強くなること、つまり「強い日本」を支持する勢力が強く、トランプ政権からの妨害は比較的少ないと思われる。  むしろ問題は、「防衛費増額に反対することが平和を守ることだ」と考える一部の野党やマスコミ、そして財務省だ。防衛予算を増やさなければ敵基地反撃能力を保有できない。財務省は、防衛予算を削ることが正しいと考えているふしがある。  どこの国も、防衛力を経済力に見合ったかたちで整備している。そして防衛費の平均は、GDP(国民総生産)比の2%ぐらいだ。ところが日本は、世界標準の半分の1%、わずか5兆円しか支出していない。  ミサイル防衛体制の充実だけでなく、敵基地反撃能力の保持といった、これまでまったく持っていなかった自衛能力を整備しようと思えば、予算の増額が必要だ。ドイツのメルケル首相もロシアの脅威の増大に対応すべく、2024年までにドイツの防衛費をGDP比2%にすると明言している。  予算は国家の意思だ。  北朝鮮のミサイルの脅威への対応や尖閣諸島を含む南西諸島防衛のため、防衛費をせめてGDP2%10兆円に増やし、領土・領海と国民の生命・財産を守ることができる日本にできるかどうかは、有権者の皆さんが、防衛費増額を支持するかどうかにかかっている。自分の国は、自分で守るしかないのだ。 【江崎道朗】 1962年、東京都生まれ。評論家。九州大学文学部哲学科を卒業後、月刊誌編集長、団体職員、国会議員政策スタッフを務め、外交・安全保障の政策提案に取り組む。著書に『アメリカ側から見た東京裁判史観の虚妄』(祥伝社)、『マスコミが報じないトランプ台頭の秘密』(青林堂)、『コミンテルンとルーズヴェルトの時限爆弾』(展転社)など’62年生まれ。九州大学文学部哲学科を卒業後、月刊誌編集長、団体職員、国会議員政策スタッフを務め、外交・安全保障の政策提案に取り組む。著書に『日本は誰と戦ったのか』(ベストセラーズ)、『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』(PHP新書)など
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