更新日:2022年10月29日 01:12
エンタメ

オタクアニメとジャパメタが最も熱かった1985年――Zガンダム、うる星やつら、LOUDNESS

オタク必須のZガンダム、うる星やつら、メガゾーン23、月刊ニュータイプの登場

 オタク・シーンには、前年の1984年に、3本の劇場用アニメ映画『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』『風の谷のナウシカ』『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』が出揃った。現在、いずれの作品もオタクを自称する者ならば必ず観ておかなければならない名作とされている劇場用アニメ映画である。この頃、1971~1974年生まれの“団塊ジュニア世代”が中学生になり、オタク向けアニメが経済的に成り立つ時期だったのだろう。  1985年の劇場用アニメ映画は、『うる星やつら3 リメンバー・マイ・ラブ』『カムイの剣』『オーディーン 光子帆船スターライト』など、今となっては振り返られることのない作品ばかりだったが、TVアニメの方は、『機動戦士Zガンダム』『超獣機神ダンクーガ』『蒼き流星SPTレイズナー』など、オタクの間では今も語られる名作が揃った。『戦え! 超ロボット生命体トランスフォーマー』『ダーティペア』『忍者戦士飛影』もこの年である。  OVA(オリジナルビデオアニメ)の方でも、この年、『メガゾーン23』がリリースされ、以降、メカと美少女というフォーマットのもと、多くの作品が制作された。『銀河漂流バイファム』のOVA作品の3、4作目が発表されたのもこの年で、同作は多くのムック本が発売された。筆者も4~5冊は買ったし、さらにキャラクター・デザインを務めた芦田豊雄の『芦田豊雄イラストレーションズ』(みのり書房)まで買ったのだった。当時中学2年生だった筆者は、芦田豊雄をベースにオタク絵を学んだ。

OVA黎明期の記録的大ヒット作品『メガゾーン23』

 前年から発売された『くりいむレモン』シリーズも、この年に盛り上がりを見せた。1985年には、ほかに『天使のたまご』『幻夢戦記レダ』『戦え!! イクサー1』など、多くのOVA作品が発表された。OVAは、1983年の勃興から2年経った頃で、機が熟していたのだろう。  また、アニメ雑誌『月刊ニュータイプ』(角川書店)が創刊されたのも1985年である。「ニュータイプ」とは初代『ガンダム』で登場した宇宙環境に適応進化した新人類を表す架空の概念である。『ガンダム』という作品固有のものであるから、筆者は当時「『Zガンダム』の放送が終了したらどうするんだろう?」と思い、オタクの同級生らとも話題にしたと思う。しかし、現在に至るまで『ガンダム』シリーズは続いている。こんな状況は当時、想像すらしていなかった。
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ジャパメタ・アーティストの芸能界での活躍
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(やまの・しゃりん)漫画家・ジャパメタ評論家。1971年生まれ。『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)シリーズが累計100万部突破。ヘビメタマニアとしても有名。最新刊は『ジャパメタの逆襲』(扶桑社新書)

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ジャパメタの逆襲

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