更新日:2022年10月29日 01:12
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オタクアニメとジャパメタが最も熱かった1985年――Zガンダム、うる星やつら、LOUDNESS

ロボットアニメとハードロック/ヘヴィメタルは「絵」と「音」の表現方法の違い

 『機動戦士ガンダム』(1979年)から始まるリアルロボットアニメと、LAZY『宇宙船地球号』(1980年)から始まるジャパメタ、それぞれのムーヴメント、そのピークはどちらも1985年だった。どちらも、一般層にまで影響を与えるほどに熱く盛り上がった。  80年代後半、オタク向けアニメはOVAシーンへ、コアユーザー向けのジャパメタはインディーズ・シーンへと舞台は移っていった。このように、アニメとジャパメタのムーヴメント勃興の時期とその期間は、非常に似ている。  ついでに言えば、それ以前の『マジンガーZ』に始まるスーパーロボットものは、ハードロックと比較できるだろう。スーパーロボットものからリアルロボットものへと進化した時期と、ハードロックからヘヴィメタルへ進化した時期は、1979~1980年と、奇しくもほぼ同じなのである。  さらに時代を遡れば、国産初のTVアニメの誕生は1963年の『鉄腕アトム』だが、その前年の1962年に英国でビートルズがデビューしており、TVアニメとロックという音楽ジャンル自体の黎明期が重なっている。こちらも比較対象として並べることができるだろう。  似ているのは、勃興の時期や期間だけではなく、そのほかさまざまな点があげられる。80年代初頭に、アニメを見てアニメ業界に参入した新時代のクリエイターは、大阪から出てきた者が多い。そしてジャパメタも、LAZYやNOVERAがシーンを作り、大阪からジャパメタ・バンドが出てきた。大阪のオタクおよびメタラー青年が、80年代前半期に新たなシーン、新たな時代を切り開いたのである。  アニメ創成期を代表する作品といえば『鉄腕アトム』や『鉄人28号』などが挙げられるが、どちらの作品名にも「鉄」が入っている。その後の『マジンガーZ』以降、超合金やウルトラ合金、Z合金ジンクロン、ダイキャストなどの玩具が大流行した。これらの鉄や合金、ダイカストなどは、金属つまり「メタル」である。ロボットアニメとヘヴィメタルは、重視される「質感」が同じであり、またロボットアニメにおけるスピーディな戦闘シーンと、ヘヴィメタルにおけるスピード・チューン、どちらも「速度」が重視されている(『超時空要塞マクロス』の“板野サーカス”とスラッシュメタルの比較ができよう)。  これらの例から、ロボットアニメとハードロック/ヘヴィメタルは同質のもので、オタクでメタラーの筆者としては、両ジャンルの違いは、表現方法が「絵」または「音」だったに過ぎないと考えている。

オタクカルチャーとジャパメタは同じ属性

 現在、アニメに代表されるオタクカルチャーは萌えの方向に発展している。アニメでメカと美少女のフォーマットが完成したのは、前述のOVA『メガゾーン23』(1985年)だ。対して、ジャパメタにおけるアイドルメタルの完成は早川めぐみで、彼女も1985年に登場している。

軍帽をかぶって志願兵を募る時祭イヴと、警察の制帽をかぶった早川めぐみ(筆者撮影)

 メカと美少女のフォーマットの始祖にあたる作品は、1982年10月から放送されたTVアニメ『超時空要塞マクロス』であるが、ヘヴィメタルと美女の始祖は、1982年12月にデビューした本城未沙子と翌年4月にデビューした浜田麻里である。オタクカルチャーにおけるメカと美少女、ジャパメタにおけるメタルと美女の発現時期は、どちらも1982年であり、ここでも見事に一致する。  団塊ジュニア世代が成人したのが90年代前半のこと。この世代は人口が多く、またオタクも多いと思われる。何しろ『マジンガーZ』とそれに続くスーパーロボットアニメの直撃世代であり、『機動戦士ガンダム』とそれに続くリアルロボットアニメも直撃しているのだから。団塊ジュニア世代が成人して以降、アニメを観る大人も増え、アニメは子どもだけの娯楽ではないとする考え方が支持されはじめた。  そして2010年以降、日本のヘヴィメタル・シーンも、オタク・シーンと同じように、嬢メタルやラウド系アイドルなど、萌えの方向に発展している。  まだまだいくらでも類似性は指摘できる。オタクカルチャーとジャパメタは、比較対象として非常に面白い。上記の指摘が、なぜ、現在に至るまでされてこなかったのか不思議でならない。  すでに述べてきたように、オタクカルチャーとジャパメタは、アニソンのミュージシャンの間では、密接なつながりがあった。しかし、ユーザーの間ではこれまで交わることなくタコツボ状態が続いてきた。そろそろユーザー間の交流があってもいいのではないだろうか。
(やまの・しゃりん)漫画家・ジャパメタ評論家。1971年生まれ。『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)シリーズが累計100万部突破。ヘビメタマニアとしても有名。最新刊は『ジャパメタの逆襲』(扶桑社新書)
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ジャパメタの逆襲

LOUDNESS、X JAPAN、BABYMETAL、アニメソング……今や世界が熱狂するジャパニーズメタル! !  だが、実はジャパニーズメタルは、長らく洋楽よりも「劣る」ものと見られていた。 本書は、メディアでは語られてこなかった暗黒の時代を振り返る、初のジャパメタ文化論である。★ジャパメタのレジェンド=影山ヒロノブ氏(アニソンシンガー)の特別インタビューを掲載!

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