更新日:2022年10月29日 01:12
エンタメ

オタクアニメとジャパメタが最も熱かった1985年――Zガンダム、うる星やつら、LOUDNESS

1985年に最も話題の劇場用アニメの主題歌がジャパメタ・アーティスト

 一方のジャパメタ・シーンでも、1985年には多くのアルバムがメジャー・レーベルからリリースされ、ヘヴィメタルという音楽が一般層にまで浮上した。  LOUDNESSはこの年1月、5thアルバム『THUNDER IN THE EAST』で世界進出した。同作は日本のオリコンチャートで最高4位、アメリカのビルボード総合チャートでは最高74位を記録した。また6月には劇場用アニメ『オーディーン 光子帆船スターライト』の主題歌とBGMを収録した12インチシングル「GOTTA FIGHT」をリリースした。

アメリカのビルボード総合チャートでは最高74位を記録したLOUDNESSの5thアルバム『THUNDER IN THE EAST』(1985年)

 1月に公開された劇場用アニメ『うる星やつら3 リメンバー・マイ・ラヴ』の主題歌と、TVアニメ『うる星やつら』の4月からのオープニングテーマとエンディングテーマには、のちにSHOW-YAの2代目ヴォーカルとなったステファニーが起用された。彼女は、この年の夏に、6曲ものタイアップ曲を収録した2ndアルバム『HIDEAWAY』をリリースしている(詳しくは連載第7回を参照)。  1985年に話題となった劇場用アニメ3作品のうち、2本の主題歌が、ジャパメタ・アーティストだったことは、重要な歴史事実であると言えよう(繰り返すが、今となっては振り返られることのない作品である)。

ジャパメタ・アーティストの芸能界での活躍

 ジャパメタ・アーティストが芸能界で活躍し始めたのも1985年である。連載第4回で述べたが、この年デビューした“歌謡メタル・エンジェル”の早川めぐみは、1年間で合計5枚ものアルバム・ミニアルバムをリリースしている。また、現在、国会議員を務めている女優の三原じゅん子や女子プロレスラーのダンプ松本も、へヴィメタルを唄った。  そして、7月から9月にかけては、聖飢魔IIとSHOW-YA、そしてANTHEMの3バンドが立て続けにメジャー・デビューした。いずれも、現在に至るまで高い知名度を誇るジャパメタ・バンドである。  へヴィメタルの先行者である浜田麻里は、年末にガチにヘヴィメタルな5thアルバム『Blue Revolution』を発表した。そして翌年以降は、ハードロックそして大衆向けロックへと音楽性を少しずつシフトさせていき、歌謡曲界への進出を開始した。現在は日本を代表するシンガーになったのはご存じのとおりである。  またアンダーグラウンド・シーンも盛り上がり、北海道からは後にE・Z・Oと改名し世界進出を果たしたFLATBACKERの1stアルバム『戦争――アクシデント――』や、現在、日本を代表するX(X JAPAN)の初のシングル「I’ll Kill You」が発表されている。REACTIONの1stアルバム『INSANE』は、インディーズながら売上1万枚を突破し、彼ら以降、インディーズ・メタル・シーンは本格的に盛り上がっていった。
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オタクカルチャーとジャパメタは同じ属性
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(やまの・しゃりん)漫画家・ジャパメタ評論家。1971年生まれ。『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)シリーズが累計100万部突破。ヘビメタマニアとしても有名。最新刊は『ジャパメタの逆襲』(扶桑社新書)

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ジャパメタの逆襲

LOUDNESS、X JAPAN、BABYMETAL、アニメソング……今や世界が熱狂するジャパニーズメタル! !  だが、実はジャパニーズメタルは、長らく洋楽よりも「劣る」ものと見られていた。 本書は、メディアでは語られてこなかった暗黒の時代を振り返る、初のジャパメタ文化論である。★ジャパメタのレジェンド=影山ヒロノブ氏(アニソンシンガー)の特別インタビューを掲載!

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