アニソンに込められたメッセージ
――アルバムの1曲目はやはり、『ドラゴンボールZ』の「CHA-LA HEAD-CHA-LA」ですね!
影山:この曲のオファーを受けた頃は、俺は『週刊少年ジャンプ』とかまだ読んでる頃だったんで、『ドラゴンボールZ』の主題歌を依頼された時はたまげました。「マジで!?」みたいな。
――影山さんは『少年ジャンプ』系の曲を多く歌われてますよね。私が好きなのは、ベストアルバムDisc2の1曲目、『鬼神童子ZENKI』なんですけど、これも『月刊少年ジャンプ』ですし。
影山:『ゴールをぶっ壊せ』(中公新書ラクレ)でも書いたけど、俺自身、アニソンを通して伝えたいと思ってるのは、「今日は勝てなくても、仲間と力を合わせて頑張れば、きっと明日は勝てる」っていう想いなんだよね。『ドラゴンボールZ』『聖闘士星矢』「スーパー戦隊シリーズ」って、どれもそういう物語でしょ。
――『少年ジャンプ』掲載作品のテーマは「友情」「努力」「勝利」ですから、そういうところでも影山さんとアニソンがシンクロしてますよね。影山さんが魂を込めて歌われてるそういう想いは、リアルタイムでアニメを観ていた僕ら世代に、しっかり伝わっていると断言します。
――一方で、1990年代後半、J-POPアーティストの曲がアニメのタイアップで主題歌として採用されるケースが増えました。それだとアニメの持つメッセージが伝わってこないって、本当に思いました。
影山:その番組のために作られた曲と、たまたま新曲があって宣伝したいから、じゃあ春からの枠を何とか手に入れて、そこにハメ込めばすごくいい宣伝になりますっていうモノとは、やっぱり根本的に違いますよね。
――本当にそうですね。
影山:俺たちアーティストは、より人気にならなきゃいけないし、アーティストとしても成長しなきゃいけないんだけど、でもアニメソングっていうのは、それが最大の目的じゃないんですよ。アニソン歌手がなんでカッコイイかっていうと、それはチームの中の一つの歯車として、どれだけ最高の歯車かって問われて、それに応えているからです。
――このアニメのタイアップで売れて、次はドームでコンサートだ――、っていうことではないですもんね。
影山:やっぱりアニメを見てくれた人たちや、作ってる人たちや、みんなに、「今回のこの主題歌くらい、この番組に合ってる曲はないよね!」って言われることが一番の褒め言葉なんですよね。そこはアーティストとして、心の中を問われてることだと思うんです。「どういう気持ちでやってんの?」っていうことを問われてる。「俺たちはこういう気持ちでアニソンを作ってるんです!」っていうところがないと、アニメの主題歌は、単なるCMソングとかと同じように、お金で売り買いされる枠になっちゃうじゃないですか。
――JAM Project結成は、水木一郎さんがアニソンの魂を残したいっていうのがきっかけということですが、影山さんも同じことを思われてたわけですよね。
影山:当然アニメ作るのはお金がかかるし、人気アーティストとタイアップしたいというのは、それもしょうがないのは分かってるんだけど、全部が全部そういうふうになって、関係ない曲ばかりになっちゃって、それでいいのか。アニキ(水木一郎氏)なんか特に、ずっとこの業界を引っ張ってきた気持ちもあるから、今まで築かれてきたアニソン文化が、じゃあ終わりっていうことか、みたいな。そういうのに対抗して、監督とかプロデューサーの中には、自分の作った番組にはやっぱり専用のアニソンが欲しいって思ってくれる人もいるだろうから、そういう人たちと手を組んでやっていこうよと作ったのがJAM Projectなんですよね。