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父は蒸発、母のDV…貧困と虐待から逃れるため非行に走った少女のその後

母親

※写真はイメージです

グループホームで「現在の母」と出会う

 そして、母親は彼女が施設にいる間に肝臓病でこの世を去った。 「中2の頃でした。あれだけ嫌いだった母なのになぜかすごく悲しくて……。でもやっぱり自分は被害者だって思いもぬぐいきれなくて『バカヤロー、片耳返せ!』って、亡くなった母を摑みながら泣き叫んだ。自暴自棄になって、高校生になってからは体も売ったし、クスリもやめられない。暴行事件を起こして少年院にも入ったし、もう人生どうでもいいや、と」  しかし高校をやめ、とあるグループホームに入居していた彼女に思いもよらない出会いが訪れる。 「カウンセラーで来た女性が、私を娘にしたいって言ってくれたんです。初めは疑心暗鬼だったけど、なぜかそうなるのが決まっていたかのように、すんなり受け入れられた。彼女と生活することで初めて家族の温かさを知ったと思う」  その人が、NPO法人「若者メンタルサポート協会」を主宰する岡田沙織さんだった。現在は活動を手助けする一環で、自分と同じ境遇の若者の声に耳を傾けている。 「私はわかりやすく非行に走ったけど、同じ環境でもお姉ちゃんは自傷行為に走る子供で、当時の記憶がまったくないようです。いろんなパターンのコがいて、それぞれに合った手助けが必要なんです」  貧困は次の世代に連鎖する。しかし「最近、お姉ちゃんと話したんですよ。『昔だったらお母さんと同じようになってたかもしれないけど、今の私たちは大丈夫だよね』って」と言う彼女の言葉に、それを防ぐヒントがあるのだろう。 ― [若者の貧困]どん底ルポ ―
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