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結局、最後に儲かるのは資本家? 今後の「トランプ・マジック」に要注意

窮屈なアメリカ社会に「公正で中立的なバカ」と言い放ったトランプ大統領

<文/佐藤芳直>  筆者は毎年12月、ニューヨークを訪れているのだが、2015年に五番街の喧騒の中を歩いて感じた強い違和感について、以前、次のように紹介した。
結局、最後に儲かるのは資本家? 今後の「トランプ・マジック」に要注意

マンハッタンの五番街にそびえるトランプ・タワー(2016年11月16日)

 キリスト教以外の宗教への配慮から、「メリー・クリスマス!」の代わりに「ハッピー・ホリディズ!」と言う市民たちを見て、多様な価値観を認めようとするあまり、大切な価値観にフタをしてしまう、あるいは元々ある伝統的な価値観は古いと葬ってしまう社会の動きに潜む「非寛容さ」を感じた。  そして、そんな窮屈になったアメリカ社会に「公正で中立的なバカ」と言い放ったトランプ氏が、国民のノスタルジーを呼び起こしている、と述べた。  そのトランプ氏が、大方どころか、ほぼ世界中の人々の予想を覆して、昨年11月の大統領選を制し、今年1月20日、アメリカ合衆国第45代大統領に就任した。

「メリー・クリスマス!」が戻ったニューヨーク

 トランプ氏当選後の昨年12月も、筆者はニューヨークを訪れた。大統領選後ということもあり、アメリカが大きく変わろうとしているまさにその時であった。新しい価値観に変わる期待と不安、そのどちらが勝っているかといえば、期待の方が大きく勝っているという印象をニューヨークで感じた。「ハッピー・ホリディズ」の表示も減り、街中にクリスマスソングが溢れていたように思う。筆者が毎年訪れるほとんどの店舗で、クリスマスソングが再び流れていたことが印象的だった。  アメリカ人の価値観が一気に変わったとはもちろん思わないが、トランプ大統領が提唱している「アメリカ人のためのアメリカ」、あるいは「アメリカ一極繁栄主義」という考え方が、淡い期待となってアメリカの人たちの心に置かれていると実感した。  一方で、アメリカの実体経済は決して良くないということも実感した。金融世界においてはアメリカは勝っているが、実体経済を観れば状況は決して良くないことが分かる。私は経済評論家でも予測家でもないが、実体経済を活性化させようとすれば、当然のことだがトランプ政権も金融緩和を縮小しながらも、大量の公共投資を実施するだろう。アメリカは金利を上げる方向に向かい、その結果、日本の金利も、ひいてはアジアの金融金利もいずれかの局面で上り始めることになる。中国も金利を上げざるを得ないだろう。
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すでに「トランプ疲れ」のニューヨーカーたち
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