【人生相談】妻が毎月6千円しかお小遣いをくれません
【佐藤優のインテリジェンス人生相談】
“外務省のラスプーチン“と呼ばれた諜報のプロが、その経験をもとに、読者の悩みに答える!
◆大器晩成(ペンネーム)会社員 34歳 男性
結婚して4年目です。昨年、息子が生まれて、日夜息子のために働いています。ただ、どうにもツライことがあります。お小遣い制を取っているのですが、妻が毎月6000円しかくれません。一日200円です。妻も働き始めたので、今は自分でおにぎりをつくって会社に行っています。仕事の付き合いなどで飲みに行くときは、事前にお伺いを立てなくてはなりませんが、大概「子育てにお金かかるんだから、お小遣いのなかでやりくりしなさいよ!」と怒られます。なのに、妻はいつのまにかパソコンを新調したりします。もともと、私が妻にホレ込んでしまったため、妻にあまり文句を言えません。なんとか穏便にお小遣いを上げてもらう方法はないでしょうか? つまらない相談ですいませんが、宜しくお願いします。
◆佐藤優の回答
お小遣いが、昼食込みで月6000円というのは、はっきり言って滅茶苦茶です。毎朝、自分でおにぎりをつくって行くというのでは、中長期的に会社での人間関係にもマイナスの影響を与えます。大器晩成さんの手取り収入がいくらかわからないので、適切なアドバイスが難しいのですが、’12年9月24日の日本経済新聞Web刊でサラリーパーソンのお小遣いについて、以下の調査結果が報道されました。
<新生銀行は24日、「サラリーマンのお小遣い調査」の結果を発表した。2012年のお小遣いの額は平均で月額3万9756円と、前年から微増だった。(中略)’06年以降、20歳代のお小遣いの額が50歳代を逆転して最も多くなった。未婚者が多い20歳代が自由に使える金額が多い一方、子どもを持つ親世代のサラリーマンは「身を削って家族の生活を維持」していると分析した。>
あなたの場合、共働きなのですから、いくら子育てでお金がかかるといっても、月3万円くらいの出費は、サラリーパーソンとして、必要最低限の食物を確保するとともに体面を維持するために必要です。飲みに行く費用を捻出するために、週2回くらい家でつくったおにぎりを昼食にするのは、やりくりとして、立派と思いますが、それでは十分な栄養がとれません。
また、会社の同僚や仕事で付き合いのある人たちと居酒屋で一杯やって人間的信頼関係を強化することもできなくなってしまいます。こんな生活スタイルを続けていると、あなたは「ドケチ」もしくは「変人」という扱いを受けてしまいます。
奥さんには、食費、社交のために必要な飲み代、さらに雑誌(特に『週刊SPA!』)や書籍など、1か月にいくら必要になるかを紙に書いて見せて、冷静にお小遣いというよりも、サラリーパーソンとしての必要経費の獲得交渉をしてみることをお勧めします。きっと奥さんは理解を示してくれると思います。
奥さんは、今後の子育てや、子どもの教育、さらには住宅の購入、老後の生活などが心配で、できるだけ節約した生活をして貯金することを考えているのかもしれません。しかし、そういう考え方は基本的に間違っています。サラリーパーソンが得ている賃金は、企業経営者の報酬とは異なります。生活のために賃金を消費することによって、労働力を再生産するのです。食べて、寝てというギリギリのレベルの消費しかしていないと、再生産される労働力の質も低下してしまいます。低い質の労働力は、安い賃金で買いたたかれます。
大器晩成さんが、きちんと食事をし、サラリーパーソンとしての付き合いと教養を身につけるだけの消費が行えるようにすることが、結果としては奥さんと子どものためになります。ですから堂々と値上げ交渉をしてください。応援しています。
【今回の教訓】
賃金の消費によって労働力は再生産される
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【佐藤優】
1960年生まれ。1985年に外務省入省。在英、在ロシア連邦大使館、国際情報局分析第一課で活躍。2002年に背任の容疑で逮捕。『インテリジェンス人生相談』個人・社会編に続く第3弾、新刊『インテリジェンス人生相談<復興編>』が発売中!’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数
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