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渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。

第70回

02年6月6日「ツッコミ禁止」

・PlayStation Awards2002。ところでゲーム業界ではAWARDをアウォードではなく「アワード」と読み、ADVANCEDをアドバンストではなく「アドバンスド」と読むことになっている。新入社員の皆様、これはツッコミ禁止のことなので注意。

・ヒットしたゲームに、その売り上げ本数に応じて賞を与える。最もフェアで、ゆえに最もつまらない表彰システムである。そこでユーザーや販売店、ゲーム雑誌等の投票を集計して選出する「プレイステーショングランプリ」という賞が設置されているが、これは売り上げトップで200万本賞も獲得している『FFX』が獲得した。当然といえば当然だが、つまらないと言えばつまらない。

・その後、別府小学校の先輩の野村さん(Vジャンプ副編集長)や田口さん(エニックス取締役)と飲みに行き、1972年の校舎火事の話などで盛り上がる

02年6月10日「アイデンティティー」

・70%近い視聴率、なんて話を聞くと、なーんだ多チャンネルなんていらないじゃんと思う。それから、みんな本当は制服とか着るの大好きなんだね。あ、これ皮肉じゃないよ。別にそれでいいと思う。

・ただ僕は残りの30%が何をやってたのかということを考える。僕の場合は、貸し切り状態のプールで泳いでました。

02年6月11日「てんびん打法」

・元大洋の近藤和彦さんが亡くなられた。僕は野球に詳しくないし、近藤さんとも面識はないが、ふと、10数年前のあることを思い出した。

・ゲーム好きの少年から電話をもらった。とあるゲームにはまっている、という内容だったと思う。当時僕も暇だったので自作のゲームの攻略ビデオを送ってあげた。そしたらそのお礼にどっさりとスポーツウェアが送られてきてたまげたのだ。その少年のお父さんが近藤さんだった。引退後に、スポーツ用品のメーカーも経営されていたらしい。あの礼儀正しい少年も、もうずいぶん大きくなってるはずだ。

02年6月12日「消しゴム版画」

・ナンシー関さんとはほとんど面識はなかったが、一つ妙な出来事を思い出した。『PCランド』という夕方のテレビ番組に出ていた時のことだ。その中で「渡辺になっちゃうぞ~」というコーナーがあった。変わった趣味や特技を持った人を毎回2名登場させ、対決させる企画だ。

・その日、ディレクターが「今回はなんと消しゴムで版画を作ってるマニアの人を見つけてきました!」と目をきらきらさせながら言った。司会の大竹まことさんが「それってまさかナンシーさんじゃないだろうなあ」と聞いていたが、ディレクター君、きょとんとしている。

・このディレクター君は世の中のことに本当に疎い人だった(おかげでこの番組の現場ではファンタスティックなことが他にもたくさんあった)。「それからもう一人、ガンダムの消しゴムをなんと100個も持ってる人も見つけたので今回はその2人を対決させますッ」と。当時ガン消しを100個や200個持ってる子は1クラスに5、6人はいたはずだ。

・本番が始まった。やってきたのはやはり、ナンシー関さんだった。当然インタビューか何かを受けるつもりだったようだが、スタジオに入るとそこには手垢にまみれたガンダム消しゴムと自分の消しゴム版画が並べられている。そしてご本人は鼻をたらした小学生の男の子と一緒に並べられ、素人扱いである。

・これ、ナンシーさんが既に売れまくってて『宝島』や『週刊朝日』に連載も始めてた頃のことだ。あの大竹さんですら「いくらなんでも失礼だろう……」と呟いていた。ディレクター君はナンシーさんのことを全く知らなかったらしい。ただ他のテレビ番組で紹介されてるのをちらりと見て「ただ消しゴム好きの変わった女性」と思い込んだようだ。

・結局、ナンシーさんは対決に勝ってしまい、賞品の「渡辺浩弐サイン色紙」を持って帰った。

第69回

02年5月28日「なべ、かまをプレイ」

・チュンソフトにて、『かまいたちの夜2』をプレイ。映像表現としては、ループムービーという技法が効いている。何も入力しなくても、背景が常に動き続けているのだ。例えば湖のほとりに立つと水面が波打ち、木々の葉が揺れている。放っておくと1時間でも2時間でも動き続ける。プレイヤーが操作を休んでいる間も、画面の中は常に生きて、動いている。これで、一種独特の空気感が現出されるわけ。

・小説がゲームと融合したもの、というより、ネット時代、常時接続の環境に配信される新しい映画の形として注目してみたい

02年5月29日「腕時計ってもういらなくない?」

・しばらく前に腕時計をなくしてしまった。こういう時、よほど気に入ったものが見つかるまでしばらく腕時計なしで暮らすことになる。しかし、つい腕を見てしまう自分に気付く。そして、あきらめてしまう自分がいる。そこで毎朝、手首に、ペンでこう書いておくことにした「携帯電話見ればいいじゃん」。

02年5月30日「インディーズの血」

・C&Aレコードの佐藤社長、来社。同社ではインデペンデント系のミュージシャンを多数プロデュースしているが、このほど、インディーズ情報誌『JIVE』を創刊したそうだ。レコードショップに置いてあるらしい。無料。ネット上でも同名の情報サイトを開くという。

・1部頂いて付録のCDを聞いてたら、血が騒いできた。実は僕も昔、インディーズ情報誌を自主制作してたことがある。20年前だけどね。あの時にネットやケータイがあったらなあと想像しつつ、今こういう動きをいろいろ応援させてもらおうと思っている。

02年5月31日「H.R.石橋貴明」

・『エイリアン』をはじめて観た翌日、学校ですげー映画だぜと騒いでいたら女の子に「で、エイリアンってどんな顔してるの」と聞かれた。「それが”ちんちんの先”みたいなんだよ」と正直に答えたらものすごく嫌われた。

2年6月5日「ドキドキ」

・チュンソフトをまた訪問。おなじみ『プレプレ』の企画で、中村光一社長にインタビュー。ところで中村くんの社長室から新宿の風景が一望できるんだけど、近くのビル街の一角が更地になったまま、もう1年以上も放置されている。よく見てみるとロープが張られ、旗が立てられ、大勢の人々がしゃがみこんでなにやら一生懸命調べている。

・再開発で土地をならして高層ビルを立てようとしていたら、そこに縄文時代の遺跡が出土してしまい、工事は中断、本格的な発掘作業が始まってしまったらしいのだ。新宿の、ど真ん中で、ですよ。

・実は僕、女の子の肌についた矯正下着の跡を見ても興奮してしまうほどの縄文土器マニアなのである。しばらくは双眼鏡持ってチュンソフト社長室に入り浸ることになりそう。

第68回

02年5月24日「極秘プロジェクト」

・早稲田大(院)の生徒を連れて、CGアニメのモーション・キャプチャー作業を見学に。僕は原作者の立場なのでこの段階にくるともう傍観者になってしまうわけだが。

・この作品ではCGキャラの声を担当されてる方がモーションつまり演技も担当している(人気急上昇中のあの人やその人だよ)。格闘やダンスではなくリアルな日常の演技を撮る時は、このやり方のほうが断然うまくいくようだ。

・このプロジェクトは作り方も公開の仕方もかなり面白い形になりそうなので、そのうちしっかりレポート書きます。

02年5月25日「FF11繋がった?」

・『ファイナルファンタジーXI』って、ゲームに入るまでがすごく面倒くさい。でもいったん始めてしまえぱ、ゲーム自体はどんなRPGよりもとっつきがいい。わからないことは他人のキャラクターに聞けるし、あるいはお喋りだけでも楽しいし。

・FFプレイヤー300万人の中にはパソコンもインターネットもやったことのない人が相当の割合いるはずだ。しかし、そういう人がハードルを乗り越えて(つまりシステムを揃えプロバイダーと契約し、ソフトをインストールして etc.のメンドクサイ作業をクリアして)つまりテレビゲームをプレイすることの延長でネット世界に入ってくることの意義はとても大きい。スクウェアさん、ソニーさん、それからネットに詳しい皆さん、ビギナーに親切に、丁寧に教えてあげて下さいね。

02年5月26日「少年隊じゃなくて少林隊」

・遅ればせだけど、どうしてもこれだけはお薦めしとかなくちゃ。映画『少林サッカー』。すごくすごくすごくすごく面白いので観て下さい! 個人的には今のところ21世紀ベストワン。

・少林寺拳法の超人アクションでサッカー。と言えばこれ以上の説明はいらない。想像通り。しかし想像通りのことを実写イメージで見せてしまうって、やっぱりエライことだと思う。SFX的には、金よりもとにかく膨大な時間と手間をかけているところが欧米の大作との違いだ。

02年5月27日「支援カムバック」

・DCAJ(デジタルコンテンツ協会)に。経済産業省絡みのクリエーター支援プロジェクトを、今年もお手伝いすることに。去年はノミネート委員の立場で携わったが、今年は審査員の末席に座らせて頂く。また、がんばりますのでよろしく。

・プロジェクト名称は「ジセコン(次世代デジタルコンテンツ制作支援事業)」。何か新しくて面白くて儲かりそうなアイデアのある人に、そのプロトタイプ制作予算として1企画1000万円を目途に支援するというものだ。これは出資や貸与ではないから、返さなくていい金なのだ。1000万で何かやりたいことがあるデジタルクリエーターさんは、マネ虎よりこっちの方が断然いいよ。

・審査会は応募者のプレゼンテーションも審査員のアドバイスもすごく面白い。僕以外の審査員の方々は業界の重鎮ばかりなので、応募して話を聞くだけでもずいぶん勉強になると思う。おなじみ仙頭プロデューサーもいる。東大でVRの研究をされている廣瀬教授や元映像新聞編集長の清水計宏さんはVRやマルチメディアの黎明期(80年代後半)、仕事場に押しかけてはいろいろと教えて頂いた方だ。詳細はここにhttp://www.dcaj.or.jp/

第67回

02年5月20日「二人羽織」 ・「奇跡の天才詩人」疑惑は、現代の親子関係の問題を象徴している。他人事と思えない人も多いはずだ。例えばひきこもりの子の親はたいてい高度成長世代である。自分の子供とは対照的にいつまでも元気で、 […]

第66回

02年5月16日「大バンチ振る舞い」 ・週刊『コミックバンチ』の「世界漫画愛読者大賞」表彰式@赤坂プリンスホテル。賞金総額1億円! 大賞の賞金はなんと5000万円! と、桁外れの太っ腹ぶりに「大賞は該当作なしってことにな […]

第65回

02年4月26日「チップ3」 ・(前回分参照)……てなことを考えてる矢先に「中古ゲームソフト販売」が「合法」との最高裁判断が出た。この影響を短期でみると取りあえずはショップとユーザーが活気づき、それによってメーカーも得を […]

第64回

02年4月12日「チュンは中村さんの”中”だが、中さんの会社はソニックチーム。チュンソフトの関連に”ピカイチ”という会社もあるが、光一の光は新幹線ひかり号の光」 ・中村ピカイチ社長と、それからチュンソフト開発部の山田信哉 […]

第63回

02年4月3日「サウンドノベル新展開」 ・チュンソフトの発表会。『かまいたちの夜2 ~監獄島のわらべ唄~』(PS2対 応・7月18日発売予定)のゲーム画面がお披露目に。たえず動き続ける背景、シ ルエットのまま立体的に動く […]

第62回

02年3月29日「日本には田圃がある!」 青山真治監督作品『月の砂漠』試写会に行ったら、この映画のプロデューサーの仙頭さんに会ってしまった。仙頭さんからこないだ「僕は映画は必ず金払って見る」と聞いてた矢先だったのでとても […]

第61回

02年3月12日「アートとビジネス」 昨日に引き続き青山テピア。他のノミネート委員の方々とプレミア・プロジェクトについて語る公開セッションに参加した。司会は武邑光裕さん、 パネリストは稲蔭正彦さん、仙頭武則さん、八谷和彦 […]