葬儀で遺体を撮影しSNSに投稿するのはOK? スマホ普及で変わる「死」への倫理観
昨今、亡くなった人の遺体や葬儀の様子をスマートフォンで撮影し、それをFacebookなどのSNSに投稿する人が増えているという。誰でも“写真家”になれる時代には、親族や友人の「死」への倫理観が変わりつつあるのだろうか。
作家の川上未映子氏による『週刊新潮』(6月2日号)の連載コラム「オモロマンティック・ボム!」では「SNSのどきどき」と題して、遺体や葬儀の写真をスマートフォンで撮影し、SNSにアップする人への違和感について書かれている。
このコラムでは、川上氏の知人には葬儀へ参列しても「元気だったときの顔こそを覚えていたいし、亡くなったあとの顔を見て思い出を更新したくない」という理由で、棺のなかの顔は見ないという人がいる一方で、葬儀では、当たり前のように遺体をスマートフォンで撮影する人がいることに言及されている。
スマホ全盛時代の倫理観の変化を象徴するかのような現象だけに、取り上げるメディアも多く、こうした光景を目にする人は徐々に増えているようだ。
6月2日放送のフジテレビ系「とくダネ!」では、「葬儀の時に故人を撮るのはアリ?」をテーマに調査を実施。「葬儀で故人の死に顔を撮ることについてどう思う?」というネット調査では、約半数の人が遺体の撮影を「許容しない」と答えた一方、10人に1人は、実際に故人の死に顔を撮影したことがあるという事実が判明。実際の街頭取材では、亡くなった夫の死に顔を撮った60代の女性や、母親の安らかな姿を撮影し、スマホに保存している30代女性などが紹介された。
近しい人の死に顔や遺体をあえて撮影する理由、そこには「最愛の人のすべてを残しておきたい」「幼い娘にも母のことを覚えていて欲しいから」などさまざまなものがある。ブログに故人の写真を載せる人は「遠く離れた家族と思い出を共有したい」という思いを込めている、と説明する。近年、故人の写真を撮る人が増えてきた背景について、番組リポーターの荘口彰久氏は「家族葬が広まり、葬儀を自由にとらえる人が増えてきたからではないか」と分析した。
今では故人を偲ぶ方法も変わりつつあるのか、とある葬儀会社では、葬儀の様子を撮影してアルバムにするサービスを3年前から開始している。番組内では、棺に納まる祖母の姿が収められたアルバムを持つサービス利用者も紹介された。
2014年10月29日深夜に放送されたテレビ朝日系「マツコ&有吉の怒り新党」でも、視聴者からの「知人の葬儀に参列した際、故人の友人が遺体や葬儀の様子を撮影していましたが、どう思いますか」という投稿を紹介。葬儀での撮影について、マツコ・デラックスは「よくはないけど、そういう人がいてもしょうがない時代になっちゃったってこと。周りは我慢するしかない」と発言していた。
2015年12月に実施された、直近2年半以内に葬儀を行った(携わった)経験のある日本全国の40歳以上の男女を対象に行われた「お葬式に関する全国調査」によると、「お葬式で困ったことは?」という質問に対して、16.5%の人が「葬儀の手順がわからなかった」と回答している。身内の「死」に触れる機会が多い40歳以上の男女ですら6人に1人がこう回答していることから、40歳以下の男女では「葬儀の作法」がわからない割合がさらに増えることは想像に難くない。
⇒【資料】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1126363
では実際に、世間では「遺体や葬儀の撮影」についてどう考えられているのだろうか? 肯定派の50代女性は「たとえ亡くなってしまっても大切な人であることに変わりない。大切な人との思い出はすべて写真に残しておきたい」と話す。一方で、あまり共感できないという30代の男性は「百歩譲って、思い出として写真を撮る人がいることは仕方ない」と一定の理解を示しつつも、「人生の一大事であるはずの葬儀や遺体の写真を撮影して、SNSでシェアしたいと考える気持ちはよくわからない。もし自分のSNSのタイムラインに、見知らぬ亡くなられた方の写真が流れてきたらと考えるとぎょっとします」と不安をよぎらせる。
こうした主張を見るに、遺体や葬儀の写真を撮影するのは決して「常識知らずで無神経な若者」特有の行為ではないことがわかる。変わる葬儀と「死」への倫理観、あなたはその“揺らぎ”をどう感じるだろうか。 <取材・文/北村篤裕>
10人に1人は「故人の死に顔を撮影したことがある」
「大切な人との思い出はすべて写真に残しておきたい」
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