「私がコンビニの店長なら朝礼はちゃんとしたい」芥川賞作家・村田沙耶香が語る“コンビニ愛”
村田:同窓会などで、そういう場面を見て怖いなと思うときがあります。同窓会って、みんなで「今、何やってるの?」って話をする場所ですよね。自己紹介の後、陰で「あいついい年して、バイトらしい」とか言われてる男の子もいて、なんて残酷なんだろうと。本人は今の仕事に、すごい喜びを感じているかもしれないのに、勝手に“普通”の価値観を押し付けられて、その一日だけの情報で人生が裁かれる。
――白羽の台詞にもありましたね。「普通の人間っていうのはね、普通じゃない人間を裁判するのが趣味なんですよ」。
村田:女の子は女の子で「子供はまだ?」とかデリケートな問題を直球でぶつけられて、後で号泣したりしていて……。そのことがあって、『しろいろの街の、その骨の体温の』という話を書いたんですが、それでもまだ足りなくて、『コンビニ人間』を書いたんだと思います。一度は“普通”を目指すんだけれど、結局は“普通”の価値観をきっぱり断る。そんな主人公を、大好きなコンビニを舞台に書いてみたかった。
※このインタビューは10/4発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです
【村田沙耶香】
’79年、千葉県生まれ。’03年、「授乳」で第46回群像新人文学賞優秀作を受賞しデビュー。’13年『しろいろの街の、その骨の体温の』で第26回三島由紀夫賞受賞。以後、『殺人出産』『消滅世界』ほか、既存の価値観を揺さぶるような作品を発表し続けている。’16年、『コンビニ人間』で第155回芥川賞を受賞
取材・文/吉田大助 撮影/寺川真嗣
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『コンビニ人間』 第155回芥川賞受賞作! |
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